第568号
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岩上安身のIWJ特報!
「長期化するウクライナ紛争~米国の代理戦争の代償」
「米ドルの黄昏とアテナイ覇権喪失の教訓」(第4回後半)
岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー
(その3)
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(その2)の続き
2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、すでに半年以上が経過した。ロ
シアを非難する米国は、ウクライナへ大量の武器支援を続けており、そのためも
あって停戦は実現せず紛争は長期化。いまだに収束の目処も立っていない。
一方、米国主導で実施したロシアへの経済制裁は、穀物価格や原油価格の世界
的な上昇を招き、回り回って制裁している側の米国や同盟国の一般の市民の暮ら
しを直撃している。
長引く紛争が世界経済に与える影響が懸念される中、岩上安身はエコノミスト
の田代秀敏氏に、2022年5月5日、5月12日、5月20日、5月30日と4回にわたるイン
タビューを行った。
・田代秀敏氏(IWJ撮影)
https://bit.ly/3CAQVaQ
4回目のインタビューとなった5月30日、田代氏は古代ギリシャ世界で起きたア
テネ帝国の衰亡の歴史が、現在の米国の姿と重なりあうことを「米ドルの黄昏と
アテナイ覇権喪失の教訓」というテーマで解説した。
今回も引き続き、民主主義の祖と謳われたアテネの崩壊プロセスが、現代への
示唆に富むことを、米国の金融状況などを踏まえながら語っていただいた。
歴史から学ぶ意義について田代氏は、「こういう判断をすると間違えるのだ、
ということを見ておくのが正しい。ヘーゲルが言うように、為政者は歴史からは
何も学ばない」と話す。
古代ギリシャ世界で、ペルシャの専制主義からギリシャの民主主義を守ったア
テネは、強大な軍事力とともに、アテネの通貨を同盟国の共通通貨とすることで、
経済的にも圧倒的な覇権を持っていた。
しかしそのアテネの繁栄の持続のためには、「他国の民主制を抹殺することも
辞さなかった」という、帝国主義を必要とした。
やがてアテネの自由と繁栄を守るための帝国主義に、不満を持つ同盟国が反乱
を起こし、アテネとスパルタという、古代ギリシャ世界を二分する大戦争に発展
する。
「民主主義の暴走」により、無謀な戦争を繰り返したアテネは、最後はペルシャ
と手を結んだスパルタに敗退する。
軍事力と金融の力で覇権国家となった米国もまた、「凶暴なデモクラシー」に
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