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「ジョルダーノ・ブルーノ、普遍生命論、そして生きた粒子」(後編)

BHのココロ
  • 2022/09/02
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先々月から3回に分けてお送りしてきた、2022年の新作となる入魂のジョルダーノ・ブルーノ論文も佳境に入り、今回は「後編」として最後の部分をお送りします。さらに、9月の一時帰国にあわせたイヴェントのお知らせも末尾にあります。可能な方は、皆さん、ぜひとも東京・京都でお会いしましょう! 「ジョルダーノ・ブルーノ、普遍生命論、そして生きた粒子」 3. シェキウスと原子論者アナクサゴラス  優れた人文主義者で穏健なルター派のヤコブ・シェキウス(Jacob Schegk, 1511-1587)は、プロテスタントのチュービンゲン大学で1539年から1577年まで哲学と医学を教えた。現代の歴史家にはあまり知られていないが、彼の講義は非常に人気があり、しばしば宗教改革派の土地からくる学生を数多く引きよせていた。  シンプリキオスをめぐる出版物の増加を受けて、シェキウスはアリストテレスの『自然学』への注解を執筆し、バーゼルで1546年に出版する。出版業者のヨハン・ヘルヴァーゲン(Johann Herwagen, 1497-1558)は、偉大な出版業者ヨハン・フローベン(Johann Froben, c. 1460-1527)を継いでいた息子ヒエロニュムス(Hieronymus Froben, 1501-1563)の友人かつ協力者だった。 シェキウスの著作は、アリストテレスの『自然学』へのシンプリキオスの注解を頻繁に利用した最初の注解書といえる。したがってシンプリキオスの議論にもとづいて、アナクサゴラスの教えにも大きく注目している。  この注解書のもっとも驚くべき点は、アナクサゴラスをデモクリトスのような原子論者として、シェキウスが紹介していることだろう。たとえば序論で、彼はアナクサゴラスとデモクリトスをならべてつぎのようにいう。デモクリトスは原子が種と形状において互いに異なると考えたが、アナクサゴラスは原子が実体と種において互いに異なり、原子の集合からどんな「同質部分体」(homoiomereia)もつくられると考えた。

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