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韓国半導体が危機、米国「半導体囲い込み」戦略で大津波 対中二股は不可能に

勝又壽良の経済時評
  • 2022/09/01
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米国半導体法の影響力 台湾有事の認識がない 中国でのシェア激減へ 基盤の弱い韓国半導体 韓国経済を支えているのは、高付加価値の半導体産業である。汎用品のメモリー半導体では、世界1位がサムスン、2位はSKハイニックスである。中国へも工場進出しているが突然、暗雲が垂れ込めてきた。8月9日に米国で成立した「国内半導体産業支援法」が、韓国半導体にとって大きな枷になるからだ。 この法律は、米国内での半導体製造に対する約520億ドルの政府補助金のほか、半導体工場向け投資を促進するための推定240億ドルの税額控除などが盛り込まれている。問題は、外国の半導体企業といえども、米国で政府補助金や税額控除などの恩典を受けた場合、中国への投資で制限を受けることだ。サムスンもSKハイニックスもその対象になる。 サムスンやSKハイニックスは、中国で幅広い半導体投資を行なっている。当然、前記の「国内半導体産業支援法」の影響を受けて、思わざる制約条件が付くことは間違いない。同法によれば、2年に一度の見直しが行なわれる。米中対立のいかんによっては、どのような厳しい条件が付くか予測できないのだ。 米国半導体法の影響力 中国では、この法律が持つ「メガトン級」の影響力について早くも反応している。中国の経済団体である中国国際貿易促進委員会と中国国際商会は8月10日、「半導体産業の地政学的な競争を激化させ、世界経済の回復や技術革新の成長を阻害する」と非難した。中国外務省も10日、新法について「経済的な脅迫だ」と批判し反発を強めている。 米国が、このように半導体囲い込みの立法措置に踏み切った裏には、中国による「中国製造2025」(2015年発表)の存在がある。政府の補助金で、中国製造業の高度化を推進するという内容だ。具体的には、次のような構想を立てた。10大重要産業育成計画で、半導体もむろん入っている。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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