対照的なジャクソンホール発言
先週末に行われた米国ワイオミング州ジャクソンホールでの経済シンポジウム。ここでの日米金融トップの発言は対照的でした。前回号で紹介したように、FRBのパウエル議長が、景気を犠牲にしてでも、断固としてインフレを抑制する強い姿勢を見せたのに対し、日銀の黒田総裁は、現在のインフレはほぼ全てが商品価格の上昇による一時的なもので、来年には1.5%に向けて減速する、との見方を示しました。
従って金融政策についてもFRBがインフレを封じ込めるまで利上げをする意向を見せたのに対し、日銀の黒田総裁は、賃金と物価が安定的かつ持続可能な形で上昇するまで、持続的な金融緩和を行う以外に選択肢はない、と明言しました。これを受けて、ドル円は一時139円台まで円安が進みました。今回は黒田総裁の考えをチェックしてみましょう。
「商品価格と財の誤解?」
まず黒田総裁の言う「日本のインフレはほぼ全てが商品価格の上昇による」との認識について、総裁の認識に誤解がありそうです。総務省の消費者物価(CPI)統計でみると、物価を「財」と「サービス」とに分けてみると、確かに総裁の指摘されるように上昇のほぼ全てが「財」の価格上昇によります。
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