変わる「デュアル・マンデート」のバランス
先週末の米雇用統計は、大きな潮目の変化を示唆するのとなりました。「熱すぎず、冷たすぎない」ほど良い加減の数字となりましたが、終わってみれば株価3指標はこぞって下げました。ディーラーにとっては月に一度のビッグイベント指標であり、日本では夕食を済ませ、夜9時半に備えて万全の準備で臨む慣習でしたが、ついに物価指標に主役の座を奪われ、インフレ懸念に飲み込まれました。
従来よりFRB(連邦準備制度理事会)には2つの目標達成が求められてきました。物価の安定と雇用最大化の2つです。このため、一般には「デュアル・マンデート」と言われています。そして政治的な理由や、近年低インフレの時期が長かったこともあり、このうち雇用の最大化がより大きなウエイトをもってきました。
特に2020年の新型コロナのパンデミック時には、とにかくコロナ前の雇用水準に回復することを最優先してきました。こうした歴史から、米国金融市場で最も重視される経済指標として「雇用統計」が東の横綱の地位を長らく続けてきました。ところが、40年ぶりにこのバランスが変わりました。雇用よりも物価がより重視される環境になったことを、金曜日の雇用統計が示唆する結果となりました。
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