政府と二人三脚で発展
追込まれるファーウェイ
「借り物」技術国の悲哀
巣ごもり経済で再建狙う
中国ファーウェイ(華為技術)は2年前まで、次世代ネットワーク「5G」とスマホで世界を席巻する勢いを見せていた。それが、突然の大嵐に見舞われたのだ。米国が、安全保障上の理由によって、ファーウェイへの技術とソフトの輸出を禁止したことが原因である。
ファーウェイ創業者の任正非氏は、人民解放軍に所属していた。このことから人民解放軍との関係が取り沙汰されてきた。同社は、そのたびにこれを強く否定し、純然たる民間企業であると訴えてきた。その証拠に、従業員株主制を挙げていた。だが、それは上辺だけのことで、法的には労働組合が株主であり準国有企業スタイルであったことが分った。
ここまで「身分」を偽ってきたのは、ファーウェイの業態が通信機器メーカーであることから、中国情報機関と深い繋がりを持っていたのだ。中国のスパイ活動の一翼を担ってもいたのである。「5G」には、秘かにバックドアが付けられていた。スマホにも、それが確認されている。北京からの裏操作が、いつでも可能であったのである。
「5G」は、次世代ネットワークだけに、電力・ガスなどインフラ機器の基幹を担っている。戦時に北京から裏操作されれば、国全体が機能マヒに陥るゾッとするリスクを抱えていたのだ。これに最初に気付いたのは、豪州の研究機関である。それが米国へ伝えられて、世界的規模の問題になった。また、ファーウェイは米国が経済制裁しているイランへ製品輸出した嫌疑も重なり、米国政府から決定的な不信感を買った。こうして、半導体やソフトで輸出禁止処分にされたのである。
政府と二人三脚で発展
ファーウェイが、短期間に世界的な通信機器メーカーへ発展できた裏には、二つの背景がある。一つは、中国政府の高額補助金支給。もう一つは、米国企業からの手厚い技術とソフトの支援である。ファーウェイは、米国企業へと深く食込んでいた。「5G」などは、米国企業の技術とソフトの支援があったから販売できたと見られる。
ファーウェイは、「5G」を売り込めば世界のインフラを裏操作できる。こういう目的があって、積極的な販売攻勢を掛けた。中国政府の後ろ盾があったからできた販売戦略である。こうした、モラルを逸脱したビジネスは世界から排除されて当然である。ファーウェイは現在、主として中国市場だけで「生きなければならない」事態を招くことになった。
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