■心理的安全性をつくる言葉
変化の激しい今、チームが力を合わせて最高の成果を生み出すには、
職場環境の心理的安全性が保たれていなければならない。これがあ
れば、情報が共有され、挑戦が増え、満足感や充足感が満たされる。
この言葉が登場したのは半世紀以上も前だ。元々は組織に使われる
言葉だった。今では対人関係のリスクをとっても大丈夫だというメ
ンバーに共有される信念のことと定義されている。
さらに、米グーグル社が「プロジェクト・アリストテレス」の中で
再発見し、「チームにとって圧倒的に重要」と結論づけて注目を集
めた。
心理的安全性は、単にメンバーの仲が良いということではない。仲
が悪すぎるでも、良すぎるのでもなく、目指すゴールや成果のため
に健全な意見の衝突が起こせるチームのことだ。
★
「心理的安全性」は、4つの因子で作られている。まず「話しやす
さ」因子だ。雑談含め、情報共有が頻繁に行われる環境が大切だ。
この因子では、情報共有の「量」に加えて「質」も大切だ。
次に「助け合い」因子だ。互いに助け合える環境のことでチームワ
ークの根幹だ。日常的にリーダーや同僚と相談でき、ミスやトラブ
ルがあった時は、解決・改善に向けて建設的な対話ができる状態だ。
3つ目は「挑戦」因子だ。まず「挑戦したこと、そのもの」を歓迎
できる環境が重要だ。この因子が高いと、アイデアや企画が出やす
く、チームの挑戦の総量を増やすことができる。
4つ目は「新奇歓迎」因子だ。「人」にフォーカスした因子だ。組
織やチーム、社会や業界の常識にとらわれず、メンバーの強みや個
性、新しい視点や発想を受け入れ、「的はずれ」をむしろ歓迎する。
これら心理的安全性4つの因子について、まずは自分のチームの現
状把握をしてみることだ。フォーカスするポイントがわかれば、打
てる手も見えてくるはずだ。
★
1日の仕事の始まりは、挨拶からだ。多くの職場で当たり前に実践
されているが、ひと工夫加えることで、心理的安全性を高めるシン
プルな方法になる。
それが「○○さん、おはようございます」と「挨拶時に相手の名前
を添える」ことだ。たったひと言、名前をつけ足すだけだ。それだ
けで「自分に話しかけられている」と感じられる。
するとチーム全員から自然と話が出やすくなる。挨拶だけでなく、
会議などの場でも「誰か意見ある?」という投げかけの代わりに
「○○さんはどう思いますか?」という。
部下の発言の「きっかけ言葉」にとして使うことも効果的だろう。
積み重ねていけば報告や相談が増え、トラブルの予防や早期発見、
燃え広がる前の解決もしやすくなるはずだ。
重要なことは、挨拶を上司やリーダーから率先して行うことだ。も
し、関係性が許すなら「なんと呼んでほしいか」を本人に聞いて
みるのもいい。本人が望めば、愛称で呼ぶのも効果的だ。
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部下や同僚からの相談は、その場で聞いて即対応したいが、いつで
もできるわけではない。目の前の仕事に追われて「いっぱいいっぱ
い」なときもある。
そんな時、つい「ごめん、ちょっといま忙しいから、あとでいい?」
と反応しがちだ。であれば「30分後でもいいかな?」などこちら
が相談を受けられる時間やタイミングを指定するほうが有効だ。
さらに心理的安全性を高めるなら、前もって「相談タイム」という
時間と共通言語を作ることだ。「相談タイム」は、メンバーの相談
を優先的に受ける時間だ。
「この時間帯は相談優先で対応します」というルールにする。ポイ
ントは「相談タイム」という共通言語を作ることだ。すると新人か
らでも声をかけやすくなり、話しやすさや助け合いができる。
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