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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第489号2022.8.16 配信分
●『捨てる神あれば、拾う神あり』
歌は世に連れ、世は歌に連れ……昭和末期の20年間(1970~1980
年代)に全盛を極めたテレビ(TV)で語られた名調子があった。
名司会と評価された公共放送NHKのアナウンサーが曲間に用いた
文句であり、語呂と調子の良さから広く支持されたと記憶する。
時あたかも日本の自動車産業が、高度経済成長期の活況から一転
オイルショックと公害問題(排気ガス規制)の荒波をモロに受けた
1970年代を、唯一最大といえる資源(マンパワー)による技術力で
克服して、世界に打って出る力を蓄えた1980年代までの頃だった。
私事で恐縮だが、丁度18歳の運転免許取得からモーターレーシン
グへと駒を進めた10年弱と、ライター稼業に転じた1978年9月から
昭和時代が幕を閉じる1989年1月7日までの10年余。合わせて約20
年間というまさに”成長期”に居合わせた。
時代に重なったのは偶然だが、運も実力……という消極的な見方
は過去のものと言われる。今や『運こそ実力のそのもの』だと評価
されるのが定説となろうとしている。
たとえば、イチローがどんなに優れた野球選手だったとしても、
20世紀のタイミングでは野手がMLB(メジャリーグベースボー
ル)に挑戦する余地はなかった。10年早く生まれていたらマリナー
ズでシアトルに愛される天才バッターになる機会を逸していたに違
いなく、似たような話は星の数ほど存在する。
同じ意味を私自身が噛みしめている。18歳で運転免許を取得し、
23歳でレースデビュー、足掛け4年の参戦継続を断念したのが26歳。
チャレンジの途中では無我夢中で脇目も振らずに猛進したが、裕福
とは縁遠い生まれ育ち。今なら借金を恐れず続けるべきだったと振
り返られるが、所詮この程度のプレッシャーに負けるようではプロ
として通用するはずもない。
だが、本気で挑戦していれば『捨てる神あれば、拾う神あり』は
本当だ。渡りに舟ではないが、GSでコツコツ競技車両作りを始め
る前に複数の自動車専門誌編集者が顧客として現れ、それぞれ雑誌
デビュー(CARTOPモノグラ3ページに掲載)とライターとしてのス
カウトという”オポチュニティ”に恵まれた。
何もしなければあり得ない。挑戦には成功もあれば失敗もある。
それを当然と考えられるのは、行動を起こした者だけだろう。
何事もやって巧く行く確率は高くない。運が良ければ波に乗るこ
ともあるだろうが、人為に浮き沈みはつきものだ。優れたコーチに
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