▼第50号
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2022/9/9
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ブラック企業アナリスト 新田 龍のブラック事件簿
Vol.050
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インデックス
【日本電産 永守会長のパワハラ老害支配】
【サイバーエージェント「初任給42万円」の衝撃と、固定残業制への正しい理解】
【近況・告知】
【Q&A】
【本メルマガに関する免責事項】
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【日本電産 永守会長のパワハラ老害支配】
日本電産株式会社は、精密小型モーターの開発・製造において世界一のシェアを
誇るメーカー。現在のようにM&Aが一般的になる遥か以前、1980年代初頭から
積極的に企業買収をグローバルで展開。「回るもの、動くもの」に特化し、技術・
販路を育てあげるために要する「時間を買う」という考え方に基づいたものであり、
現在約300社もの連結子会社を擁する。直近(2022年3月期)の連結売上高は
1兆9,181億74百万円、連結従業員数は114,371名の大企業グループである。
代表取締役会長・永守重信氏は28歳のときに日本電産を創業し、1代で世界トップ
シェアの大企業に育て上げた名物経営者だ。2014年、日本経済新聞社が実施した
「平成の名経営者ランキング」において第1位となったほか、同年の「日経ビジ
ネス」誌で発表された「社長が選ぶベスト社長」ランキングにおいても第1位を
獲得している。
永守氏のM&Aは、優秀な技術を持つが経営不振に陥った企業を買収し、子会社化
して再建させる手法で知られる。人員削減はおこなわず、永守氏が個人で筆頭株主
となり、同時にその会社の会長にも就任して、直接経営陣を送り込むことで再建
していくのだ。実際、買収した会社はほぼ1年以内に黒字化させている。
永守氏が常に標榜している経営哲学は「情熱、熱意、執念」「知的ハードワーキング」
「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」の3つだ。買収先企業の再建にあたっては、
まず意識改革、企業カルチャーを変えることを求める。さらには、競合企業が
追随できない圧倒的スピードを求めて実践させていくのだ。たとえば同社がM&A
した芝浦製作所(現・日本電産テクノモータ)の再建に際しては、「1年以内の売上
高倍増」、「営業マン1人当たり訪問件数月100件」を要求。従前は月20件だった
ところを100件に上げれば、受注件数が増え、売上高は上がり、従業員全員がやる
気になるという構図だ。また、見積作成も試作品作成も競合より短期間で仕上げ、
それらのアクションを徹底するカルチャーにすることで、競合はスピードについて
こられなくなる。そして、競合が脱落しても手を抜かずスピードを継続する。
これら一連の感覚が、組織DNAとして染みついているわけだ。
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