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第710回 ウクライナ軍は勝っているのか?本当の戦況、パーカーのトラス新首相とイギリス経済の未来
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▼今回の記事
日本の主要メディアのウクライナ報道が、完全に大本営発表になっている。実際にウクライナで起きていることとはあまりに異なる。したがって今回は、ウクライナで本当に起きていることを紹介する。
最後に、クレイグ・ハミルトン・パーカーのトラス新首相とイギリス経済の予言を紹介する。
▼本当の戦況、ウクライナ軍は勝っていない
それでは今回のメインテーマを書く。毎回ウクライナ関連の記事が続いて恐縮だが、今回もぜひともお付き合いいただきたい。日本を始めとした西側の報道は実質的に大本営発表状態になっており、現実とはあまりに乖離しているからだ。実際に起こっている状況はなんとしても伝えなくてはならないと思った。
ウクライナが7月から宣言していた南部ヘルソン州の奪還に向けた攻勢がやっと8月29日に始まった。それからというもの、日本を始めとした西側メディアでは、ウクライナ軍の反転攻勢でロシア軍が撃退され、ウクライナが領土を奪還しているというニュースが多く流れている。
ゼレンスキー大統領も、「生き延びたいのであれば、ロシア軍は退却する時がやって来た。自分の家に帰りなさい。ロシアに戻るのが怖ければ降伏しなさい。われわれは戦争捕虜の保護を定めたジュネーブ諸条約のすべての規範を順守することを約束する」とロシア兵に訴えている。
日本でも、ウクライナ軍の反転攻勢の成功を伝えるニュースばかりが報じられている。例えば以下のようなニュースだ。
「ウクライナ軍は4日、南部ヘルソン州のヴィソコピリア村の病院にウクライナ国旗を掲げた。昨年3月3日、ロシアのウクライナ侵攻開始から1週間後にロシア軍に制圧されたこの地域の奪還に成功したからだ。
ヘルソン州議会のユーリー・ソボレフスキー第一副議長はテレグラムで、ヴィソコピリアがロシアの支配から解放されたと発表した。ケルソン州の北、ドニプロペトロフスク州との行政上の境界に位置するこの村は、ドニエプル川の黒海への出口にあたり、戦略的に非常に重要な場所だ。」
また次のようなニュースも典型的だ。
「ウクライナのゼレンスキー大統領は5日に放映された番組で、ロシアに占拠された地域の奪還作戦について「(南部)ヘルソン州だけではなく、全ての方面で展開している」と述べた。ロシアは今月11日に占領地域での自国への併合の是非を問う住民投票の実施を模索してきたが、ウクライナの反転攻勢を受けて延期に追い込まれた。ウクライナの反撃とロシアの苦戦が顕著になっている。」
毎日こうしたニュースが大手の主要メディアでは延々と流れているので、ウクライナ軍が領土を奪還するのは時間の問題ではないかとの印象を持つ。またロシア軍が掌握する「ザボリージャ原発」の問題も、ウクライナ軍の攻勢でロシア軍が撤退するのは時間の問題ではないのかという見方も見られるようになった。
●軍事専門家の伝える実際の戦況
しかし、ウクライナ軍とロシア軍の両方をよく知る軍事専門家や専門機関の評価を見ると、まったく異なった状況が見えてくる。ウクライナは勝利しているどころか、南部ヘルソン州を中心にした攻勢は成功していると言えない状況だ。ロシア軍からの領土の奪還もほとんど実現していない。よく言っても戦線は現状維持がやっとで、相変わらず膠着状態が続いている。以下は筆者が参照している専門家や専門サイトの戦況分析である。以下にそれらを列挙する。戦況分析は地名など非常に細かいが、分かりやすくするために詳しい地名は省いた。
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