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モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月11日(日)号

ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------  香川照之の性加害スキャンダルにみる 日本の芸能界の闇 所詮はCM=本業 テレビ・ドラマ出演=副業という現実 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------  香川照之のスキャンダル報道が収まらない。「デイリー新潮」の第1報後、香川の所属事務所はすぐに謝罪コメントをリリース。香川もMCを務めるTBS系の「THE TIME」で謝罪。  スキャンダル自体は極めて悪質ではあるものの、しかし3年前のことであり、性被害者が訴えたのは香川ではなく銀座のクラブであり、被害者との示談も成立していたため、その後、数日間は、やや報道がトーンダウンした様子も。  しかし、8月31日に再び、「デイリー新潮」が新しい証拠として、当時の写真を掲載。さらにそれを追うように「文春オンライン」も報じたことで、空気は一変する。  TBSは「THE TIME」の降板を発表。NHKも「香川照之の昆虫すごいぜ!」(NHK Eテレ)の今後の放送と再放送の予定がないことを発表。  トヨタ自動車とセゾン自動車火災保険は出演CMの放送見合わせを発表、他の企業も続いた。  他方で、香川は、これまで酒席での様子を報じられたことがあり、酒癖に関する噂話を業界内で何度もあったのにも関わらず、香川がこれまで「野放し」であったことの社会的責任も重い。  2010年代後半、海外では#MeToo運動が盛り上がったのにもかかわらず、日本だけが無縁だったのは、所詮は“人権後進国“ニッポンの現れ。  香川は元より、香川を重宝し続けた、テレビ局、そしてCMに出演させ続けた企業も同様に罪がある。 目次 ・アメリカの場合 ハリウッドの大物プロデューサーがセクハラ80件で禁錮23年 #MeTooへ ・違約金「5億円」は本当か? ・CM=本業 テレビ・ドラマ出演=副業という日本の芸能界の現実 ・アメリカの場合 ハリウッドの大物プロデューサーがセクハラ80件で禁錮23年 #MeTooへ  そもそも、総じて日本はセクハラに甘い。2015年に元TBS記者の山口敬之氏が記者志望である女性、伊藤詩織さんに薬物を飲ませてレイプしたとして訴えられた事件があった。  伊藤さんは刑事訴訟を起こしたものの、証拠不十分で不起訴。その後、伊藤さんは検察審査会に申し立てたが、ここでも「不起訴相当」の議決。  伊藤さんはさらに民事訴訟を起こし、2審東京高裁判決は伊藤さんが受けた性被害に関して山口氏に約332万円の損害賠償を命じる一方、伊藤さんにも事件の経緯を記した著書などで相手の名誉を毀損したとして55万円の支払いを命令。  ハリウッドの場合はどうか。  1990年代後半からハリウッド映画業界で成功を収め、数々のアカデミー賞作品を世に送り出してきたハーヴェイ・ワインスタイン(70)は、1992年以降、女優志望の若い女性80人に対し、レイプを含むセクハラ行為を働き、2020年に禁錮23年の判決を受けて服役している。  最初にワインスタインのセクハラ被害を訴えたのは、ローズ・マッゴーワン。その後、被害を受けた女性たちがTwitterで、 「#MeToo」 と名乗り上げた。  日本の場合、刑事裁判上の”重罪”が殺人事件だけに集中している印象受ける。他方、アメリカでは、殺人はなおさら、セクハラ、あるいは詐欺・汚職など「ホワイトカラー犯罪」と呼ばれる類の犯罪も相当な重罪だ。 ・違約金「5億円」は本当か?  香川の銀座のクラブでの性加害疑惑が報じられたに後、CMや番組の打ち切り・降板が相次いだ。  このようななか、「違約金が5億円にのぼる」という報道もあった。しかし、実際には、日本における広告出演契約には、たとえばアメリカのような長い契約書に記載されてあるように損害額をどのように計算するかについて明記されていないという(1)。

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  • 日々流れるニュースを、様々な視点から分かりやすく解説するニュースサイト「ジャーナリスト 伊東 森の新しい社会をデザインする The Middle News Journal」のニュースレター有料版です。 いまだ私たちに伝えられてこないマスコミの情報は、残念ながら存在します。 「そもそも?」「Why?」を大事に、マスコミの情報を再編集し、様々な視点や確度から執筆していきます。 その「水先案内人」として、私の仕事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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