企業への優先資源配分神話が通じなくなった
「長年続いた企業への優先資源配分」
同じ1万円を消費者に預けた場合と企業に預けた場合で、どちらがより効率的にこれを使うのか。この問いに対して、少なくとも日本では長年「企業」との答えがなされてきました。消費者は1万円のうち7千円か8千円を消費に使うだけで、後は貯蓄に回す。これに対して企業は1万円を投資に回し、これが回転して2倍にも3倍にもなる、と考えられました。
また生産をして所得を生み出すのは企業で、消費者はそれを消費するだけなので、成長の源は企業だ、と見られてきました。このため、政策的にも資源を極力企業に回し、企業が十分に生産、投資を拡大できる環境を作ってきました。消費者が蓄えた「貯蓄」を企業が投資に使うことで、成長が可能になると見られていました。
実際、高成長期には日銀内に「貯蓄増強中央委員会」という組織があり、国を挙げて国民の貯蓄を奨励し、企業には設備投資減税や法人税の実効税率引き下げ、などが行われ、投資を促進してきました。財源が必要になれば、消費者から「消費税」で徴求し、企業の税負担、社会保険負担は軽減してきました。欧米に比べても、日本の企業優先政策は目立つものでした。
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