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佐々木俊尚の未来地図レポート 2022.9.12 Vol.721
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【今週のコンテンツ】
特集
写本から紙の本への変化で、文化や社会はどう変わったのか?を学ぶ
〜〜〜世界観を「四次元化」していくという考え方(6)
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
写本から紙の本への変化で、文化や社会はどう変わったのか?を学ぶ
〜〜〜世界観を「四次元化」していくという考え方(6)
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今年出したわたしの新著『読む力 最新スキル大全』を補足し、どのようにして世界観を構築していくのかを深掘りしていくシリーズの第6回です。
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あるできごとについて単一の情報だけを見て満足するのではなく、異論もふくめてをさまざまな視点から見ることで、ひとつのできごとは多方面から照射され、三次元化される。豊かにふくらむ立体的なイメージで見えてくるようになります。加えて、過去の経緯や移り変わりなど時系列の視点を加えることで、「なぜいまこの瞬間が存在するのか」というさらに豊かな超立体的なイメージを持つことができる。これが四次元化です。
前回はマルクス・アウレリウス・アントニヌスの『自省録』とヴィクトール・フランクルの名著『夜と霧』を題材に、ストア哲学を学ぶという題材でこの「四次元化」を実践しました。
今回は四次元化をさらに先へと進め、過去の経緯だけでなく、未来までをも予測できる超立体イメージをどのようにすれば持てるようになるのかを探っていきましょう。
未来予測というのはたいへん難しい作業です。「こんなこといいな、できたらいいな」とドラえもんの歌を口ずさみながら、SF的な想像力を働かせて語ることなら誰にでもできます。しかしその予測にとくだんの根拠はありません。それらは単なる願望でしかないからです。
「クルマが空を飛ぶようになったらいいな」「指をパチンと鳴らしたら目の前の空中に画面が出てくるようなパソコンがほしい」
そういう程度の未来予測には、あまり意味がありません。「なぜそれが実現するのか」というロジックがそもそも働いていないからです。またそれによって社会や産業、ビジネスがどう変化するのかまで踏み込まなければ、価値がないのです。
前回まで、情報を構造的に見ることによって、四次元化して立体的なイメージを構築できるということを解説してきました。この手法の射程距離を伸ばしていけば、同じようなアプローチによって未来をある程度垣間見ることが可能になります。
未来を予測するためのアプローチを具体的に構図化すると、以下のようになります。
第一に、テクノロジーや経済など「土台」の変化によって、社会や政治、文化などの「上物」が変化するという認識を持つこと。
第二に、上部構造と下部構造、それぞれのイメージを衝突させ重ね合わせること。
GPT(ジェネラル・パーポス・テクノロジー)という言葉があります。日本語では汎用技術と訳しますが、わかりやすく言えば「社会を進化させるような影響の大きな技術」という意味です。人類の歴史は、GPTに彩られ、GPTによって変化してきました。
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