「何とかならないか、日本でのアメリカ物価高報道」
この夏、日本ではアメリカの話題といえば物価高に関するものが特に目立
ちました。経済誌紙であればドル建てで、インフレの与える生活実感や景気
の実感を丁寧に報告する内容が多かったので、これは仕方がないと思います。
日本経済にとって米国経済の動向は非常に重要なのは間違いないからです。
問題は、一般のメディア、特にネットやTVの情報番組における「アメリ
カの物価高」報道です。まず、情報が2つに絞られている点が全く気に入り
ません。1つは、ハワイの話題です。7月前後から日本人観光客によるハワ
イ訪問が増えたわけですが、そこで「物価高に驚いた」というストーリーが
延々と手を替え品を替えて、各局、各メディアで繰り返されているのです。
家族4人でのディナーが2万円だとか、昼食が1万円という「ショッキン
グ」な数字を重ねていって、1日の滞在費に22万円かかったとか、結局ツ
アー全体で250万かかったという「アレ」です。ネットの場合だと、この
種の記事には「車が買える」などといったコメントがつくのが「定番」にな
っているようです。
もう1つは、ラーメンの価格です。ニューヨークなどで、やれ「ラーメン
一杯が20ドル」で、これに20%のチップと消費税をつけると25ドルで
「3500円」などと数字を膨張させて、大騒ぎするようものです。
何が良くないのかというと、3つ挙げられます。
1つは、純粋にインフレの部分と、円安の部分がゴチャゴチャにされてい
るということです。円安について反対するのなら、堂々と「これ以上の緩和
政策は反対」ということで論争をすればいいのです。また、アメリカのイン
フレを話題にするのであれば、そこをしっかり「ドル建ての値段のビフォー
・アフター」で比較してもらわないと、アメリカ在住者の肌感覚が伝わりま
せん。それはそれで結構(いや本当に)大変なのです。
2つ目は、海外離れといった感覚です。円安まで掛け算して「天文学的数
字」にしていくと、最後には「もう海外には観光でも留学でも無理」という
話になってしまいます。こうした傾向が「コロナ禍」における行動様式の違
いなどで加速すると、余計に日本社会が内向きになって、どんどん行き詰ま
っていくのではないかと思うのです。(続く)
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