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週刊 Life is Beautiful 2022年9月20日号:Draw2Earn アプリ

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん Draw2Earn アプリ 今年の5月から本格的にSolidityの勉強を始め、思いつくままに色々なものを作って来ましたが、ようやくここに来て、「ビジネスモデル」的なものが見えて来たので解説します。 既にブロックチェーン上で動いているAssetStoreと、そこにクラウドミントを活用して蓄積された1400個を超えるベクターアセットを活用し、ベクターイメージの編集アプリを Web 上に作り、そこで描いた絵を NFT としてミント出来るというサービスです。 フロントエンドがブラウザー上のWebアプリで、バックエンドがブロックチェーンである、「Web3版のIlllustrator」と考えていただいても結構です。 すべてのベクターデータを自分で描いた場合には、フリーミントが可能ですが、ブロックチェーン上の既存のアセットや他の人の作品を活用(リミックス)する場合には、有料ミント(0.02ETH 程度)になります。 このサービスがユニークなのは、その売上の大半(97.5%)が、クリエーターやクラウドミントに協力してくれた人たちに、即時に、かつ、スマートコントラクトによって自動的に分配される点です。 編集アプリは、IAssetProviderというインターフェイスを通じてブロックチェーン上のアセットを取得しますが、同じインターフェイスを通じて、売上の分配も行われます。 画像の取得(generateSVGPart)と、売上の分配(processPayout)の両方が同じインターフェイス上にあること自体が、Web3の素晴らしさを表していると思います。 このインターフェイスを通しての売上の分配を行うのは、AssetComposerというスマートコントラクトですが、このコントラクトがオープンな形でブロックチェーン上に存在し、人間の介在なしに自動的に売上の分配を行うという点が、(さまざまな取引がブラックボックスされている)従来型のビジネスと根本的に異なる点です。 これこそが、スマートコントラクトがもたらす「ビジネス革命」であり、その最前線にエンジニアとして関われていることは、まさに「エンジニア冥利に尽きる」体験です。 ちなみに、ユーザーが描いた絵に関しては「商用でない場合は自由に活用して良いけど、商用利用する場合はスマートコントラクトを使って売上を分配しなければいけない」というライセンスにすることにしました。 Creative Commons を使うとすればどうすれば良いか、ということを Creative Commons の担当者に相談したところ、「商用利用条件付きのCC BY-NC-SAが適切」という返事が返って来たので、少しがっかりしています。 せっかく、「Web3時代に相応しい Creative Commonsの拡張」のチャンスなのだから、"CC Share Earnings" のような新しいカテゴリーを導入して、対応した方が私は良いと思うのですが、そこは理解していただけなかったようです。 UIEvolution起業話 先日、とあるインタビューを受けたのですが、そこで色々と過去の成功・失敗話をしたところとても喜んでもらえました。特に、私にとって初めての起業体験の部分はとても楽しんでもらえたようで、一度文章にするのも悪く無いと考え、ここで連載することにしました。 企業に至った経緯 会社をそろそろ辞めて別のことを始めた方が良いと考え始めたのは、99年の後半です。「ブラウザー上でHTML+JavaScriptだけでオフィスアプリケーションを動かす」というミッションで私がスタートしたNetdocsプロジェクトが、そこに莫大な予算がついた結果、逆に働きにくい環境になり、しまいには、トップからの指示で ActiveX を使わざるをえなくなり(つまり、Windowsマシンでしか動かなくなった)、しまいには、Officeチームと競合するアプリは作れない、という悲しい顛末を迎えたころです。 「なんでこんなことになってしまったのだろう」と頭を抱えていたところに、知り合いからもらった「イノベーションのジレンマ」という書籍が、その疑問への明確な答えをくれたのです。 そんな時に、たまたまBill Gatesと話す機会があったので、「シリコンバレーでは、小さなベンチャー企業がものすごいスピードでイノベーションを起こしている。Microsoftも少人数のプロジェクトを複数並行で走らせて、数ヶ月という単位でものを作る体制を作る必要がある」と訴えたところ、「そんなことは、小さなベンチャー企業にまかせておけば良い。Microsoftは、資金力のあるMicrosoftにしか出来ない大きなプロジェクトを3年、5年先を見て作るべきだ」と答えが返って来てしまいました。 Billの言うことにも一理あるとは思いましたが、このままMicrosoftにいても、今までのように、「私が作ったプロトタイプが製品になってリリースされる」という体験は味わえないのだと認識したのです。 だからと言って、外に働きたい企業があったわけでもないし、起業したいと思っていた訳ではないので、Windows95 を開発していた時の上司で、既にMicrosoftを離れていた Brad Silverberg に相談に行きました。 私が Microsoft を辞めるつもりであることを伝えると、「ちょうどベンチャー・キャピタル(ベンチャー企業専門の投資事業)を始めるところだ。そこに参加しないか」と誘ってくれました。 ベンチャー・キャピタルで働くことなど全く考えてもいませんでしたが、将来自分で会社を立ち上げるのであれば、投資家の側に一度立ってみることも悪くないと思い、その場で了解をしました。

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