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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第491号2022.9.6 配信分
●人口がピークアウトして14年。50年前の水準に戻ろうとしている
それでも地球は回っている、ということだろうか。現実に追いま
くられる日常から遠ざかっていると、忙しさに紛れて己を見失うこ
との他愛のなさに気づく。そしてその一方で、自分の本当に好きな
ものに忠実であろうという感慨が深まる。
それが老い先短い人生の晩秋到来を意味するのかどうかは分から
ない。明晰な賢人は若くして気づくことなのかもしれないが、凡人
の私は数多くの失敗を繰り返して身を削って覚える他はないようだ。
馬鹿げた話に聞こえるかもしれないが、私は物心がついた頃から
『大器晩成』を意識していた。幼心に自身の本質を直観していたの
か、常に頭の片隅にその言葉があった。70年過ぎた今もなお鮮明に
覚えている事実だが、老人の戯言と聞き流してもらって結構だ。
ときに、私が成人(20歳になった)した1972年当時の平均寿命は
男70.50歳、女75.94歳だった(内閣府)。それから半世紀を経て、
現在は10歳ほど平均値が延びた勘定になっている。当時なら、今の
私が鬼籍に入ったとしても誰も驚かない、ということだろうか。
総人口が1億人を突破した(1970年:内閣府統計局)当時、65歳
以上の”高齢者”は731万人。全体の約7%でしかなかった。遠い
昔のことで記憶は定かじゃないが、今ほど白髪が目を引く老人を見
かけることはなかった。
それが直近のデータ(2021年8月確定値:同)によれば、総人口
1億2544万人に対して高齢者は3618.9万人(28.8%)に膨れ上がっ
ている。
すでに総人口は2008年にピークアウト。減少サイクルに入って14
年が過ぎている。自然減によるターンオーバーは有史以来のプロセ
スで、高齢者4倍増(実数・比率ともに)の意味するところは少子
高齢化社会という世界でダントツの退潮の現実に直面していること
に他ならない。加えてバブル崩壊(1990年代前半)からの国内経済
非拡大があり、出口の見えないデフレ不況から抜け出せていない。
それでも、中国、米国に次ぐ世界第3位の経済大国という事実は
継続中。国内においては、人口減少と少子高齢化が進み経済は伸び
悩んでいるのに、何故? 過去四半世紀にわたって自動車を筆頭と
する製造業のグローバル化が進み、稼ぐ市場の軸が国外に移って久
しい。大手OEMメーカーだけでなく、裾野の広い産業構造に広が
るサプライヤーもまた海外進出に活路を見出すようになっている。
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