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第48回:一国の予算に匹敵する東京都の政策形成プロセスをハックする

政策人材のための教科書 ~現場の声を政策につなげるために~
  • 2022/09/28
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1.自治体と国は対等の関係 政策を世の中にいきわたらせるには、国だけではなく、自治体との協力が不可欠であることはこれまで(※)も伝えてきたとおりです。 ※第31回:自治体と一緒に政策を進めるコツ―予算のプロセス― 第33回:自治体職員、議員、首長の政策への関わりを理解する。―自治体と協働して政策を実現するコツ― 国が上で、地方自治体はそれに従う組織と勘違いされている方も多いかもしれませんが、それは違います。 国と地方は上下関係ではなくて、対等な関係なのです。 戦前にさかのぼれば、都道府県知事は、国の官僚が任命されて派遣されていたこともありましたし、平成の中頃までは自治体の首長を国の一機関として国の指揮下に置く制度(機関委任事務制度)もありました。 この上下関係を対等な関係へのシフトさせたのが、平成5年~11年頃に行われた第一次地方分権改革です。機関委任事務制度が廃止されたり、国が持っていた権限を都道府県や市町村に移す権限移譲などが行われました。 現在でもこの国と地方の対等な関係は受け継がれています。制度設計の実務においてもそのことは常に意識されています。 官僚が法律を立案するときにも、「都道府県(市町村)は○○を行わなければならない」というような、都道府県に一方的に義務を課すような規定を課すことはとても難しく、「○○するよう努めなければいけない」という努力義務規定(簡単に言えば、強制はできないがやってほしい、というような意味合いです)を自治体に課すことでさえも、相当ハードルが高いです。 それでも自治体に何かをやってもらうルールをつくろうとすれば、その必要性をしっかりと説明し、地方自治を所管する総務省の了解を得ることが必要になりますし、地方自治体の代表である団体との協議も必要です。 国が「自治体で事業をやる場合には補助を出します」として新しく作った予算についても、その予算(補助金)を使って事業を行うかどうかは自治体の判断に任されているので、丁寧なコミュニケーションが求められます。 このように、自治体とのコミュニケーションは政策実現に大きく関わるのです。 2.北欧諸国に匹敵する予算規模を持つ東京都を理解する 国と並び立つ権限を持つように制度改正がされてきた自治体ですが、自治体といっても様々で、特に予算規模には大きな違いがあります。

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