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習近平は巧妙、バブル後遺症を回避 毛沢東を隠れ蓑に経済停滞「甘受」

勝又壽良の経済時評
  • 2022/09/29
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今年の成長率3%割れ 経済発展が腐敗招く? バブル負担を回避策す 中国のゼロコロナ政策は、世界「七不思議」の一つである。パンデミックに対して、「ゼロコロナ政策」を堅持しているからだ。WHO(世界保健機関)からも、呆れられほど頑なに都市封鎖を続けている理由は、政治的なものでしかない。 中国は、2020年の新型コロナの発生以来、わずかな数の感染者発生でも直ぐに都市封鎖してきた。その表向き理由は、犠牲者を極限まで減らすことにあるとしている。現実には、医療体制の不備が理由である。これを表面化させないためには、人流を減らす都市封鎖しか方法がないのだ。 実は、このゼロコロナ政策の中に習近平氏の思惑がすべて封印されている。都市封鎖によってもたらされる経済的犠牲よりも、人間の生命を守ることが重要というメッセージが隠されていることに気付くことだ。これは、習氏がこれから手に入れようとしている国家主席3期目において行なう政策の基本型になるはずだ。つまり、経済成長の停滞を受入れようという驚くべき覚悟がすでにある。 習氏は、不動産バブル崩壊の後遺症が、重く長く中国経済を圧迫することをすでに知り抜いているであろう。側近から、進講を受けている筈だ。これを打破するには経済改革が不可欠であるが、そうなると政治的に忌避すべき相手である「経済改革派」の意見を受入れざるを得ない。それは人事面でも、習氏のライバルを育成するに相応しく、習氏の政敵になり得るという大きな危険性を持つのだ。 こうして、習氏は自らの身を滅ぼす危険性のある「経済改革派」の台頭を認める訳にいかないのだ。ここは、是が非でも毛沢東主義の完成に向けてリーダーシップを発揮することが、習氏の身のためになる。つまり、習氏の「自己保身」が毛沢東主義の完成という美名によって遂行できる、と判断しているであろう。毛沢東は、自らの権力基盤を守るべく、文化大革命(1966~76年)のもたらす経済大混乱を放置した。その心情が、習氏にも共通していると見るべきであろう。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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