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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 144
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、クーポン戦略についてご紹介します。
さまざまなネットサービス、チェーン店舗、決済事業者が、利用を促進するためにクーポンを配信したり、ポイントを還元したりするのは、どの国でもあたり前になっています。
中国では「焼銭大戦」という言葉があるように、新しいサービスが登場すると、大量にクーポンを乱発して、お金で新規利用者を買うことが珍しくありません。このような状況から、プロモーション技術が遅れているかのように感じている人もいるかもしれませんが、実際のクーポン設計を見ていると非常にロジカルです。
このクーポンを発行して、客数、客単価などの業績指標をどの程度上昇させるのかということをしっかりと考えて設計されています。
もちろん、現実ですから、思惑通りにはいかないことの方が多いでしょう。でも、それで、データが取れるので、それを次のクーポン設計に活かしていきます。
一方、現在では、クーポン発行があたりまえになりすぎて、効果が薄れてきているとあちこちで言われます。すると、今度はフードデリバリーのウーラマが、行動経済学の考え方を取り入れたユニークなキャンペーンを始めて、話題になっています。
今回は、どのようなロジックでクーポン設計をしているのかをご紹介し、ウーラマのユニークなキャンペーンについてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 144
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▼目次▼
クーポン設計のロジックと、ウーラマの行動経済学を活かしたユニークなキャンペーン
小米物語その63
アリババ物語その63
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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クーポン設計のロジックと、
ウーラマの行動経済学を活かしたユニークなキャンペーン
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今回は、クーポン設計のロジックについてご紹介します。
クーポンは一般的に「5%割引」や「20円割引」などの(今日では)電子アイテムで、ECなどのアプリで決済時に適用することで優待割引が受けられるものです。Yahoo!やLINEでは毎日にようにクーポンを配り、PayPayのような決済サービスでも毎日のように配っています。また、ブランドの専用アプリでも配信されることが多く、もはや珍しいものではなくなっています。
当然ながら、中国のECやサービスなどでも同様のクーポンはたくさんありますが、クーポンの面でも中国は進んでいます。と言っても、進んでいるから優れているとも限りません。クーポンがあまりに複雑になってしまって、随分前から「クーポン疲れ」を口する人が増えています。
そこにピンドードーやライブコマースなどのように思い切った価格で販売をするサービスが登場してきたために、以前のようなクーポン熱はなくなっています。しかし、非常に戦略的にクーポンを設計しているため、学べるところは多いかと思います。
日本のクーポンは、ほとんどの場合、次の2つのいずれかです。
1)割引クーポン:特定の商品の購入数を上昇させることをねらう
2)初回割引クーポン:新規顧客の獲得をねらう
新しいサービスの場合は、初回割引クーポンで1000円、2000円といった大きな割引をし、新規顧客を獲得し、その後50円程度の割引クーポンでアクティブ率(アクセス回数、購入回数)をあげることをねらうというパターンが多いように思います。
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