---------------------------------------------------------------------------------------
石川 温の「スマホ業界新聞」
2022/10/01(vol.486)
---------------------------------------------------------------------------------------
《目次》
1.NTTドコモがXR専業会社「コノキュー」を創業
-----グループが持つ顧客基盤、技術力、営業力を生かせるか
2. 総務省で緊急時のローミング実現に向けた議論がスタート
-----キャリアは賛同するが「Dual eSIM」と「衛星」でお茶濁す?
3.楽天モバイルがプラチナバンド移行期間でやや譲歩
-----3キャリアから奪うより「狭帯域割り当て」が現実解か
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記
---------------------------------------------------------------------------------------
1.NTTドコモがXR専業会社「コノキュー」を創業
-----グループが持つ顧客基盤、技術力、営業力を生かせるか
---------------------------------------------------------------------------------------
NTTドコモの新会社「NTT QONOQ」(コノキュー)が10月1日から事業開始する。
NTTコノキューはVRやAR、MRなどのXRにより、メタバース、デジタルツイン、XR デバイスの3つの事業を展開する。
これまでNTTグループ各社が展開してきたXR事業を牽引し、600億円の資産規模、人員は200名体制に向けて順次、増員していくという。
XRは期待されるジャンルであるが、具体的にビジネスモデルが確立されたものではない。Facebook改めMetaも手探りであり、アップルも様子見の状態を貫いている。一方で、いち早くスマートフォン向けXRゴーグルを展開したサムスン電子は撤退し、「Google Glass」を手がけたGoogleも方向性を模索している。
XRに飛び込んでくるスタートアップなどは「メタバースはバラ色だ」みたいな持ち上げ方をするが、コノキューはどちらかというと冷静さを保っている感がある。
丸山誠治社長は「メタバースはまだ市場が確立していない」として、ビジネスモデル開発に関しては柔軟に取り組んでいくとした。
個人的に期待したいのがデバイス開発だ。丸山社長はNTTドコモでデバイス開発を統括していたこともあり、メーカーへの人脈も豊富だ。コノキューでは、軽量なグラスタイプのデバイスを開発したいと意気込んでいる。
確かにキャリアはこうした新しいジャンルへの開発は他の企業に比べれば優位な立場にいるのは間違いない。
NTTグループであれば、研究開発能力に長けており、実際、数多くの技術を持っている。
また、かつてのiモードのように課金プラットフォームを持っており、メタバース上での課金はとてもやりやすいはずだ。
さらにドコモショップを中心に個人への顧客接点を持ち、法人向けの営業も強い。
ただ、いきなり独立した会社にするよりも、NTTドコモのなかの事業部の一部として細々とやってたほうが良かったのでは、という気もしている。実際、NTTグループでXRを手がけている人たちはルール上、一度、NTTドコモに転籍してからコノキューに異動することになるという。
独立した会社になった理由として丸山社長は「XRはアーリーステージのビジネス。柔軟性を高め、機動的な組織の方がいい」とした。
NTTグループとしては丸山社長の手腕に期待して別会社にしたのだろう。
個人に売るならNTTドコモ、法人に売るならNTTコミュニケーションズということで、独立した会社になっていた方がいいのかも知れないが、もうちょっとスモールスタートで市場の様子を見ながら、走り出した方が、後々、やりやすくなるのではないかと、老婆心ながら思うのであった。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)