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決定的な「ロシア敗北」 ウクライナ東部要衝地を奪回され退勢挽回は不可能「迫る核危機」

勝又壽良の経済時評
  • 2022/10/03
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「ハイマース」に負けたロシア軍 専門家はウクライナ軍勝利を予告 プーチン氏「最後の一択」は核? ロシアのプーチン大統領は9月30日、ウクライナ東部・南部のルハンスク、ドネツク、ザポリッジャ、ヘルソン4州をロシア領へ編入した。プーチン氏は、これら地域がもはやウクライナと交渉する対象になるものでないと述べ、ウクライナへ停戦交渉に応じるようにと呼びかけた。だが、国際法に100%違反するこの領土編入宣言は、ロシア軍がウクライナ軍に対して不利な戦いを強いられている結果、編み出された奇策である。 ウクライナのゼレンスキー大統領は9月30日、プーチン大統領がロシアで政権を握っている限り、同国と交渉することはないと宣言した。ただし、新大統領とは交渉すると余地を残した。西側諸国も、こういう強引な方法を認めないと一斉に反発する声明を発表。ロシア友好国のトルコ外務省も、ロシア政府非難声明を発表するほどだ。西側諸国は、一段と結束してウクライナ支援体制を固めている。プーチン氏の思惑は、完全に外れた形である。 プーチン氏に皮肉な事態が起こっている。ロシア領へ編入宣言した翌日の10月1日、ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州の要衝リマンから撤退したのだ。ウクライナ軍が、リマンを奪回したのである。ゼレンスキー大統領は、今後1週間でさらに多くの地域へ進軍すると予告した。リマンは要衝地である。ウクライナ軍がここを奪回すれば、芋狡式に他地域も奪回可能になるのだ。ロシアの「領土編入宣言」は、朝令暮改の典型例になろう。 「ハイマース」に負けたロシア軍 ロシアが、ウクライナ4州の併合を決めた裏には、前述の通りロシア軍が形勢不利になっていることが最大要因だ。ロシア軍は9月に入ってから、ウクライナ軍の攻勢で後退を余儀なくされている。ウクライナ軍は、米国から供与された高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」(射程77キロメートル)で戦況を大きく変えることになった。ロシア軍には、これに匹敵する武器がないのだ。もはや、ロシア軍に反撃機会のないことを示している。ロシアの敗北予告と同然である。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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