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週刊 Life is Beautiful 2022年10月4日号:Decentralize Autonomous Ecosystem

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん Decentralize Autonomous Ecosystem 私がWeb3の世界と関わり始めて、ちょうど5ヶ月になります。「DAOとは一体何なのか?」という疑問からNounsDAOに参加し、CryptoZombiでSolidityの勉強をし、自らNFTを発行し、たくさんのコードを書いた結果、一つのことが明確に見えて来ました。 ひとことで言えば、 Web3の究極の形は、DAO(Decentralized Autonomous Organization)ではなく、組織すら存在しない、DAE(Decentralized Autonomous Ecosystem)だ というものです。 DAOとは、取締役や経営者の代わりにスマートコントラクトがあり、「株に相当するガバナンストークンを持った人たち(DAOのメンバー)」の多数決に従って、スマートコントラクトが予算の配分をする、新しい形の組織です。 Web3業界の人たちの中には、「DAOはこれまでの株式会社を置き換える画期的な仕組みだ」と称える人も大勢います。 GAFAMが一人勝ちしている状況と対比して、「Web2の時代には、消費者はサービスの事業者に利用されるだけで、サービスが成功して儲けたのはサービスの事業者とその株主だけだった。Web3の場合は、サービスの初期の段階から参加した人たちにDAOのガバナンストークンを渡すことにより、サービスの成功を皆で分かち合うことが出来る」と主張する人たちもいます。 実際、Web3ベンチャーの中には、ガバナンス・トークンを活用して会社の運営資金を調達しているところも数多くあり、数年前のICOブームと似た状況になっています。 Web3の外の世界にいる人たちにとっては、DAOはとても不思議な存在で、「そんな仕組みでうまく行くはずがない」と直感的否定してしまう人と、「ひょっとして、Web3業界の中にいる人たちにしか理解できない画期的な発明なのかも知れない」とに二分されていると思います。 私自身も、5ヶ月前までは、そんな「Web3業界の外にいる人」でしたが、5ヶ月間徹底的にDAOとそれを支えるスマートコントラクトの勉強をして来た結果、一つの結論にたどりいついたのです。 それは、 DAOはとても面白い仕組みではあるけど、欠点もたくさんあり、決して、株式会社を置き換えるものではないし、Web3で新たなビジネスを生み出す際の最適解ですらない。 というものです。 NounsDAOは、DAOの中でも「もっともDAOらしいDAO」と呼ばれていますが、うまく運営できているのは、リーダーシップを持ったファウンダーたちが、膨大な時間をかけてコミュニティを率いているからです。これを見ていると「最初は僕らがサービスを運営するけど、徐々にガバナンストークンをユーザーに渡して、最終的にはユーザーたちにサービスを運営してもらう」というWeb3ベンチャーの計画が、「絵に書いた餅」でしかないことが良く分かります。 さらに、これほど上手に運営されているNounsDAOの中にも、(メンバーの投票に大きな影響を与える)ファウンダーたちに気に入られて分前をもらおうとする人々がたくさん集まっていて「派閥」のようなものを形成しており、「衆合知」を発揮した組織運営とはほど遠いところにあるように私には見えます。 とは言え、DAOの「経営者の代わりにスマートコントラクトをデプロイして、それがさまざまなことを自動的に行う」という発想は本当に画期的です。これを上手に活用すると、これまでとは桁違いに効率が良く、かつ透明性の高いビジネス・トランザクションが可能になることは確実です。 DAOの一番の欠点は、ガバナンストークンを持った人間が多数決でDAOの方向性を決める、という部分であり、それがある言えに、Web3の素晴らしさ・美しさが失われてしまっているのです。 そこで私が提案したいのは、DAOから "Organization" (組織)を排除し、全てをスマートコントラクトにより非中央集権化・自動化してしまう "Decentralized Autonomous Ecosystem”(DAE)です(先週までは、"Decentralized Autonomous Marketplace”(DAM)と呼んでいましたが、基本は同じです)。 DAEは、ブロックチェーン上にあるスマートコントラクトのみから構成される、Ecosystem です。中央に、(iPhoneの)App Store に相当するスマートコントラクトが存在し、その周りに iPhone アプリに相当する スマートコントラクトが集まり、それらが集まって、経済圏(Ecosystem)を作るのです。 その一番最初の例として私が開発しているのが、先週紹介した、ブロックチェーン上のアセット(画像データ)を組み合わせて新たな画像を作り出す、Asset Composer です。

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