今のグローバルな金融市場には、およそ三つの「脆弱性」がありま
す。
その一つは、インフレ退治に後手後手に回ってしまったパウエ
ルFRBが、今後は打って変わって「景気後退を巻き起こしてでも
高インフレを退治する」との「タカ派スタンス」をますますバージ
ョンアップして高めてゆくだろうこと。
もう一つは、パウエルFRBの性急な金融引き締めと関連していま
すが、「行き過ぎたドル高」です。
あらゆる通貨に対してのドル高が余りにも行き過ぎてしまってい
て、今のグローバルな為替市場では「いつ『急速なドル安への巻き
戻し』が始まっても不思議ではない」状態です。
「秩序だったドル安への巻き戻し」ならば、すべての国にとって
ハッピーなのですが、自由な為替市場は、行き過ぎると暴力的な
動きをすることが常です。
(これこそが、今まさに「プラザ合意21世紀版」が熱望され始め
たゆえんです。)
脆弱性のもう一つは、タカ派的な金融引き締めや行き過ぎたド
ル高がこのまま続くと、新興国・先進国を問わず、どこの国でも通
貨危機・ソブリン危機(=国債暴落)のような「金融危機」が起き
やすくなることです。
アメリカはインフレ退治のための金融引き締めが原因でほぼ間
違いなく来年2023年には景気後退入りすることでしょう。
ヨーロッパもエネルギー危機の中で景気後退入りは間違いなしで
す。
中国は不動産バブルの崩壊、ゼロコロナ政策や共同富裕政策で大
きく景気が減速しています。
そんな中、ロシアとウクライナの戦争が長期戦へと突入。台湾で
も地政学的リスクが高まっています。
こんな中、サウジアラビアを筆頭としたOPECは協調減産を進め
ています。
これほど多くの国々がエゴ丸出しで、政治的・地政学的・経済的・
金融的な難問を山積させている時代を、私は今まで経験したこと
がありません。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)