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第39回 陰りが目立ち始めたバイデン外交に世界はどこまで付き合うのか

富坂聰の「目からうろこの中国解説」
 メルマガの第36回では、習近平政権がバイデン政権の発動する制裁や同盟国を巻き込んだ中国包囲網などのプレッシャーに対抗するため、上海協力機構やBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)という非西側先進国との絆を最大限利用することに触れた。  この中国の戦略は、いま少しずつだが機能をし始めたようだ。というのもアメリカが仕掛けた二つの重要な戦線で、その外交の綻びを露呈したからだ。  二つの戦線の一つとは「人権」であり、もう一つは「エネルギー」のことだ。  まず「人権」だ。10月6日、国連人権理事会第51回会合(以下、理事会)の場がその典型例である。47の理事国が出席した会合で、アメリカが主導し提出した「新疆関連問題を討議するよう求めた草案」の表決が行われ、反対19カ国、賛成17カ国、棄権11カ国で最終的に否決されてしまったのだ。  反対と賛成の差が二票と聞けば僅差のようだが、アメリカが事前に根回しを行い、8月には新疆ウイグル自治区では深刻な事件侵害が行われているという報告書――中国はこの中身を全否定していたが――も出されていたのだ。また西側先進国が一致団結し、その影響下にある国に対してプレッシャーを与え続けてきたなかでの敗北は大きな注目を集める結果となった。  理事会の16年の歴史のなかで、常任理事国である中国を討論に対象にしようとする試みは初めてのことだった。

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