【成り上がり】
「おぉ、これが有名な渋谷のハチ公か」
みつおは基地から近い池袋駅の周辺でしか遊んでいなかったので、渋谷で待ち合わせと言われて緊張していた。
「金ちゃん、渋谷のハチ公の所で待ち合わせね、人が多いからハチ公のシッポを掴んで待っててね」
「えっ?ハチ公のシッポ?」
「そう、ハチ公前といっても、人が多いから探すのが大変なんだよ、だからハチ公のシッポを掴んでいたら間違いないから」
確かに渋谷のハチ公前には人が多かった。
まるで満員電車である。
ハチ公前は殆どの人が待ち合わせに使うので、集中したのである。
当時は携帯電話もない時代なので、一度待ち合わせ場所を決めたら、会えるまでそこを動くわけにはいかなかった。
万が一待ち合わせに遅れると、もう帰ったのか、まだ来ていないのか分からないので、しばらく待ちぼうけをするしかない。
みつおは、こんな都会で逸れると怖いので予定より30分も前に来て待っていた。
いよいよ待ち合わせの時間が近づくと、言われた通り、ハチ公の銅像の後ろへと回り、手を伸ばしてシッポを掴んでいた。
いつ来るか分からないので、早く見つけてもらおうと思っていたのだ。
「金ちゃん久しぶり、元気?」
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