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【Vol.451】冷泉彰彦のプリンストン通信『鉄道150年の日本をアメリカと比較』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「沖縄での騒動、西村博之氏のホンネはどこに?」  2ちゃんの創設者である、ひろゆきこと西村博之氏による、沖縄県の辺野 古における基地反対運動への言動が「大いに物議を醸して」いるわけです。  反対派による「座り込み抗議」が誰も居なかったので、「0日にした方が よくない?」とツイートし、「新基地断念まで座り込み抗議不屈3011日」 とあるタテカンの横で、ピースサインをしてみたり、かなり確信犯的な感じ もあります。  報道によれば、この「座り込み」というのは、現在は一日中ずっと座り込 みが行われているわけではなく、「工事のための車両が来る9時、12時、 15時に合わせて」行われるそうで、そのたびに当局の側が、座り込んだ高 齢の反対派を丁寧に「移動する」というのが「お約束」になっているようで す。  一部には、旧統一教会の問題でシャープに切り込んでいる西村氏が、この 一件では政治的に逆噴射を「かましている」として、「残念だ」とか「とて も一緒には組めない」という声も上がっているようです。  西村氏に関しては、「いつものパターン」という声もある一方で、この行 動自体は結構わかりにくい感じもします。3点ほど考えてみました。  1つは座り込みと排除という一連のアクションの儀式性という問題です。 一日に3回、工事車両が来る時間「だけ」座り込みがあり、これに対しては 当局が「丁寧に移動する」という対応をしている、この全体がまるで時間の 止まったような単純動作の繰り返しであり、そんなことをする時間と労力が あったら、しっかり議論をしたらいいわけです。そのような儀式の反復で人 生を浪費するということ、そうしたカルチャー全体への異議申し立てという 理解は可能でしょう。  2つ目は、これは大真面目に考えると、緊迫度を増す台湾情勢を受けて、 「抑止力の現状変更はしない」という日本とアメリカの重大な政策にかかっ てくるわけです。日米の政策の柱は、危険な普天間基地の返還、廃止という 目標です。辺野古はその手段であり、それは沖縄のために普天間をやめる、 そして同時に抑止力の現状は維持するという方程式の唯一の解として進めら れているわけです。  では、その辺野古に反対するというのは、県外移設にメドが立つ、普天間 で耐える、中国と交渉して軍縮する、中国の台湾支配を認めつつ沖縄は保全 する、など少なくとも「完結したストーリー」が必要になるわけです。です が、そのストーリーは描かずに辺野古反対が沖縄の心だという言い方では、 話として「通らない」ということを言いたいのかもしれません。  3つ目は、そうではなくて、西村氏は旧統一教会の一件で自分の信念を表 現したために、左右対立の「一方に組み込まれる」危険性に陥ったわけで、 そこから抜け出したかったのかもしれません。そのために、わざと左派の嫌 う言動をしてみて、各所の反応をテストしてみたということはあると思いま す。(つづく)

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  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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