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第49回:医師の働き方改革、今後どうなる?

政策人材のための教科書 ~現場の声を政策につなげるために~
  • 2022/10/11
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1.医師の働き方改革はまったなし あこがれの職業をあげてください、といわれれば、すぐに上がってきそうな職業として医師があげられます。 高給である、社会的地位が高い、という印象から子どもになってほしいと思う親も多いようで、とあるリサーチ会社が行った調査では子供になってほしい職業の男の子第3位にランクインしています。ところが、その華やかな印象とは裏腹に医師という職業はかなり過酷な勤務実態があります。 実はあまり知られていませんが、医師の働き方の過酷さは異常なレベルにあります。厚生労働省が平成28年(2016年)に行った調査によれば、病院勤務医のうちの実に4割が、過労死ラインと呼ばれる月80時間の水準を超える時間外・休日労働を行っている状況にあります。さらに、過労死ラインの2倍に当たる月の超過勤務時間が160時間の水準を超える医師が全体の約1割を占めていました。 月の超過勤務が160時間というのがどのような働き方かというと、毎日朝から夜遅くまで診療をした上で、週1回泊まり込みの宿直をして、完全な休みは週に1日というくらいの水準なのです。この数字が、いかに過酷な働き方か理解してもらえるのではないでしょうか。 2.医師の働き方が過酷なことで医療にどんな影響があるか 「医師は高給だから、長時間労働でもいいんじゃないか」そう思う方もいるかもしれませんが、医師の過酷な働き方が続けば、あなたの受ける医療にもマイナスの影響があります。 実は、医師の数自体は平成20年以降、医学部の定員を増やす政策がとられています。そのため、医師の数自体は増加する傾向にあるのですが、特に、外科や産婦人科など、勤務時間が比較的長い診療科での診療を行う医師の数はさほど増えていない実態があります。 一般の企業でもブラックな働き方を求められる場合は、その企業ではなく別の企業で働こうという意識が働きますよね。同じことが医師の診療科選択においても発生しているということです。 また、マクロでみてもこれ以上医師の数を増やすのはあまりよい解決策にならないともいえます。 日本全体の労働力自体が縮小しています。医療介護が必要となる後期高齢者(75歳以上)は2025年までは急増し、2040年に向けてその増加傾向は落ち着きを見せるのですが、日本経済のエンジンである生産年齢人口(15-64歳)は2040年に向けて急減することが確実です。

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