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呼吸器疾患治療

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室161.2022.10.12. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** 呼吸器疾患治療 薬物療法の進歩は目を見張るものがあります。少し前までは、罹患したら絶望的であった手術不能の肺腺癌も、分子標的薬の登場により、通常の暮らしがおくれるようになりました。特に、肺腺癌の中でも若年者に多いALK陽性肺癌などは、かなり予後が悪かった印象はありますが、現在では罹患してからの平均生存期間は8年以上となってきており、天寿を全うできる方も出現してきているのではないかと思います。 30年前、自分が研修医時代には救急外来を受診する患者のうち、かなりの割合で喘息患者さんがいました。しかしながら、吸入ステロイド薬が上市され、さらに有効な気管支拡張薬の吸入が使用されるようになると、喘息発作で救急外来を受診する患者は激減しております。一方、ある一定数、吸入薬を使用してもコントロールできない喘息の患者さんがいることは事実です。そのような患者さんには、4種類の生物学的製剤が上市され、さらに5種類目の薬剤の販売もまじかにせまっている状況で、喘息は治ってしまうのではないかと期待がかかります。 現在、最も治療に難渋する疾患には、「間質性肺炎」があげられます。一昔前までは、悪化した際にステロイドと免疫抑制剤で治療する以外方法はなく、治療に無力感を感じた疾患です。しかしながら、数年前より、抗線維化薬が治療に用いられるようになり、少しは治療介入が可能となってきました。既存の抗線維化薬は2種類あるわけですが、「ピルフェニドン」という薬剤は光線過敏症(要するにひどいひやけ)とむか つきの副作用が強いという欠点がありましたし、「ニンテタニブ」という薬は、下痢と肝機能障害がおこる欠点がありました。副作用を考えると、効果はいまひとつかなという印象がありましたが、最近、日が当たらなかったこの分野で次々と新薬が開発されてきており、現在治験中でその結果が待たれるところです。数年先には最も治療が進歩した疾患になるかもしれません。 この原稿でもなんどか記載した「COPD:慢性閉塞性肺疾患」は残念ながら気管支拡張剤等吸入以外に有効な治療が開発されておりません。この分野では、研究者が多いだけに、さらなる進歩を期待していますが、数年以内の劇的な治療進歩は期待薄で、吸入と、リハビリがますます重要になってくるのではないでしょうか。 呼吸器感染症領域で最も治療に難渋する疾患に「非結核性抗酸菌症」があげられます。この病気を起こす細菌は90種類以上ありますが、9割がたマイコバクテリウムアビウムとマイコバクテリウムイントラセルラーによって起こってくるため、この2つを合わせて肺MAC症とよばれることがあります。この病気に関しても治療についてあまり進歩は見られませんでしたが、昨年になってようやく吸入薬ですが待望の新薬が発売されております。内服薬で現在開発中の薬剤もあり、今後の治療進歩が期待されるところです。 呼吸器疾患の治療のため様々な薬が開発中です。しかしながら、まだまだ十分ではなく、世界に遅れないように日本でも開発を進めていかなければならないと考えております。 ***************************** ドクター畑地の診察室161.2022.10.12号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 次号は2022.10.16.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください! ◆2022年09月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2022/09 2022/09/25 しゃっくり 2022/09/18 1年に1回 2022/09/11 治癒って 2022/09/04 アンケートを再考する ◆2022年08月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2022/08 2022/08/28 オミクロン株のPandemic 2022/08/21 104年振りの偉業達成! 2022/08/14 弱小病院が研修医2桁フルマッチを目指す その3 2022/08/07 弱小病院が研修医二桁フルマッチを目指す その2.

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