━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 146
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、中国のSNSの歴史をご紹介します。
歴史というのは、読み物としては面白いものの、実用的、実践的な知識を求められている方にはあまり興味がないかもしれません。
しかし、この読み物から読み取っていただきたいのが、「WeChatはなぜここまで強いのか?」ということです。
WeChatは中国という壁に閉ざされているため、海外では華人、華僑などの間でしか使われません。しかし、WeChatの中から生まれるアイディアは、世界のSNSをリードしていると言っても差し支えありません。
例えば、WeChatの中で利用できるアプリ「ミニプログラム」は、LINEやPayPay、さらにはアップルのAppClipsなどに大きな影響を与えています。
しかし、WeChatも最初から国民的インフラと呼ばれるほどの強いSNSであったわけではありません。主だったテック企業は必ずと言っていいほどSNSに挑戦をして、テンセントに敗退をしています。
今回は、読み物として、気楽に読んでいただきながら、WeChatの強さを読み取っていただければと思います。今回は、中国のSNSの歴史についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 146
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼目次▼
WeChat以前の中国SNSの興亡史。WeChatはなぜここまで強いのか?
小米物語その64
アリババ物語その64
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
WeChat以前の中国SNSの興亡史。
WeChatはなぜここまで強いのか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回は、中国のSNSの歴史をご紹介します。
中国のSNSというと、微信(ウェイシン、WeChat)が最も普及をしていることは、このメルマガの読者であれば常識中の常識だと思います。そのため、WeChatを取り巻くビジネス状況、技術状況を繰り返して取り上げてきました。
今回は、少し趣向を変えて、中国のSNSの歴史をたどってみたいと思います。このようなストーリーというのは、読み物としては面白いけど、仕事に直接役に立つ部分が少ないのではないかと思われる方もいるかと思います。それはあたっています。しかし、重要なことを理解していただける可能性があると思うのです。その重要なことというのは「WeChatはなぜ強いのか?」ということです。
WeChatは中国人のネット民ほぼ全員が使っている国民インフラになっています。では、なぜWeChatはそこまで浸透したのでしょうか。ここから先を読んでいただければわかりますが、現在、テック系のトップ企業と呼ばれているところは、過去、必ずと言っていいほどSNSの開発に挑戦をしています。なぜ、他のテック企業のSNSは消えてしまい、テンセントのWeChatが残り、巨大になっていったのでしょうか。それは「便利だから」「みんなが使っているから」という単純な理由だけでは説明できません。
このWeChatの強さを理解するには、これまでのSNSの興亡史を理解していただく必要があります。
わかりやすく言うと、ゲームの世界で任天堂は日本だけでなく世界でもなぜ強いのかということを理解するには「マリオがあるから」「暴力やアダルトを扱わないから」という理由だけでは理解できません。なぜマリオが生まれて人気になったのか、なぜ子ども向けに特化をして暴力コンテンツやアダルトコンテンツを扱わないのかということは、任天堂の玩具企業時代、あるいは花札企業時代に遡って理解する必要がありますし、アタリを始めとする米国ゲーム企業とどのような競争、提携をしてきたかを理解する必要があります。
企業や製品の個性というのは、最初からそれを目指していたわけではなく、他社と競争をしたり、成功したり、失敗をしたりを繰り返す積み重ねの中で形作られてくるからです。
WeChatを理解するには、WeChatの歴史を理解する必要があります。と言っても、堅苦しくかまえず、読み物として気軽にお読みください。中国で現在有名になっているテック系企業がたくさん登場してきますので、意外な発見もあるかと思います。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)