【前代未聞!】
「こんな事が許されると思ってるのかー」
いつもは温厚な隊長が声を荒げていた。
「お前は一生自衛隊にいるという約束で大型免許を取りに行ったんじゃないのか?」
「はい、あの時はそう思っていたんですけど、事情がかわったんです」
「お前の事情のはなしではなく、お前は約束を破ることに罪悪感はないのか?」
「はい、それは申し訳ないと思っています。でも、自分の人生のためにはどうしても…」
「お前、しかもここは自衛隊だぞ、辞めるにしても自衛隊が時期も決めてその命令に従って除隊するんであって、お前が退職日を決めることはできん」
「ですよね、でもその日に辞めないと間に合わないんです」
「はっ?何が間に合わないんだ」
「8月10日に研修があるんです。ですから7月31日付けで辞めて、1週間実家に帰り、それから上京してビジネスを始めるんです」
「はっ?お前は今の話を聞いていたか?お前の事情ではなく、自衛隊の規則があって、本部に通達してそこから命令が下されて、基地司令を通じて私の所にきた命令文書に基づいて初めてお前の除隊の日が決まるんだよ、だからお前が決めることは法令上できないんだよ」
「そうですよね、でもそこを何とか31日付けでお願いします」
「はっ?」
隊長は言葉を失い絶句していた。
常識の話が通じないみつおに、脳内パニックになっていたに違いない。
それから数日後、再び隊長に呼ばれた。
「金城、もうこんな事は二度とするなよ、外の世界はもっと厳しいからな、こんな裏切り者のような事はこれで最後にしろ」
穏やかな隊長がいた。
本部に掛け合ってくれて、7月31日付けで除隊が決まったのである。
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