メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

【【Vol.452】冷泉彰彦のプリンストン通信『10月後半の世界と変化の方向』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「岸田政権のマスク政策、日本人向けと外国人向けで矛盾?」  岸田政権は、総理自身が国内でもマスクを外す姿をアピールするなど、 「脱マスク」に動いているようです。ただ、報道によれば、は、今すぐ「脱 マスク」を目指すのではなく、「着脱にメリハリを付けた対応を促す考え」 だそうです。  その総理は、10月8日に鈴鹿サーキットで行われたF1日本GPで屋外 のセレモニーではマスクをしなかったようで、その後、 「全国各地で多くの皆さんにこうしたイベントを楽しんでもらい、日本の活 力につなげたい」  というコメントを出していました。  その一方で、松野官房長官はその2日後の10日の会見では、訪日外国人 を対象としたマスク着用ルールに関し、「基本的な感染防止対策の順守を引 き続き要請する」と述べたそうです。  非常に単純化して言えば、総理は国内向けに「そろそろマスクを外しませ んか」というメッセージを出し、官房長官は外国人向けに「ルールを守って ください」というメッセージを出しているわけで、明らかな矛盾と言えます。  こうした「二枚舌」については、好意的な解釈もあるようで、ネットには 「外国人は規則で縛らないと自主規制はしない。一方で、日本人は同調圧力 から自主規制し過ぎる。同じメッセージを出したのでは、効果はない」 「外国人はどうせしないので、強制に近いニュアンスで丁度いい。日本人は いつまでも外せないので外すよう誘導で丁度いい」  といった「非常に現実的な」声もあるようです。  ただ、こうした「二枚舌」というのは、策に溺れるといいますか、考えす ぎで相手の心には響かない危険性があります。何よりも、こうした「二枚 舌」を続けるということは「一貫したメッセージ」がないので、社会への影 響力が弱まるわけです。  勿論、それぞれのグループに「相手の嫌がることを言う」というのは、あ る意味では立派なのですが、とにかくメッセージが一貫していないと全体的 に信用されない危険があるように思います。  別々のメッセージを出して、それぞれのグループを真ん中、つまり「メリ ハリの効いた適度で効果的な着用」という落とし所に寄せることができれば、 総理とその周辺はそんな思惑でやっているのでしょうが。少々甘いと言わざ るを得ません。  その「メリハリの効いた」ガイドラインをしっかり打ち出して、日本人に も訪日外国人にも同じようにメッセージを出すのが最も効果的と思うのです が、どうでしょうか?

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎月 第1火曜日・第2火曜日・第3火曜日・第4火曜日