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ADKホールディングス社長逮捕で4度目再逮捕の高橋電通元専務の締め上げ鮮明化

今市的視点 IMAICHI POV
  • 2022/10/19
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*******************************************************       今市的視点 IMAICHI POINT OF VIEW     金融、経済、政治、企業といった領域でのニュースや     トピックスをテーマに独自の視点で鋭く切り込みます     ツイートアカウント @imaichitaro     よろしかったらフォローもお願いします。             10月19日号外 ********************************************************** ADKホールディングス社長逮捕で4度目再逮捕の高橋電通元専務の締め上げ鮮明化 臨時国会がはじまってからなんとなく影が薄くなったかの ように見えた五輪スポンサー収賄疑惑の捜査にいきなり 進展がみられています。 まず東京五輪の公式ぬいぐるみの製造販売のサン・アロー からの収賄容疑で元電通専務の高橋容疑者の4度目の逮捕 が確定したようで最初の逮捕から80日の拘留という前代 未聞の状況が展開されようとしています。高橋容疑者は 五輪スポンサーに絡む収賄疑惑で逮捕および取り調べを 受けた人物の中で唯一黙秘を続けているようで、その間 に日々外堀が埋まる状況が進行中のようです。 そして本日さらにADKホールディングスの社長が逮捕と いう一報が流れ事態は急激な進展を見せ始めています。 このADKホールディングスについては高橋容疑者の 収賄疑惑が飛び出した7月末のかなり早い段階で同社 が家宅捜索を受けていたことから一体電通の牙城の はずの東京五輪のスポンサードにどうかかわっていたの かが注目されていましたが今回ADKホールディングスの 植野伸一容疑者が逮捕されたことにより本格的にこの ルートの解明が進むものと思われます。 ■高橋容疑者の収賄総額は1.96億で5つのルートに拡大 これで高橋容疑者が獲得した収賄金額はほぼ1億9600万円、 AOKI、KADOKAWA、大広、サンアロー、ADKと5つの ルートに広がりを見せていますが、この収賄資金の流れで 整理してみますとAOKIは高橋容疑者のコンサルタント 会社コモンズへ振込を行っており、KADOKAWAと大広は 高橋容疑者の電通時代の子分であった深見容疑者が経営する コモンズ2への振込を行っています。そして今回問題に なっているサンアローとADKについては高橋容疑者の 慶応時代の後輩であるゴルフ仲間の経営していた休眠会社 に2700万円の資金が振り込まれており、カネの流通経路から 見ますと3つに切り分けされていることが判ります。 またADKについては現金受け渡しなのかさらに別に賄賂が 提供されているようで、今回の2社合計では5400万円の 賄賂受領が指摘されていますが贈賄罪の時効が3年である ことから起訴状に登場する金額はこれよりも小さくなることが 予想されます。 なぜこうした事案ごとに高橋容疑者が複雑な商流を作ったのか は明らかにされていませんが、自前の取り分と第三者への 提供部分を敢えて別のルートに切り分けた可能性は相当高く、 とんだ悪の明瞭会計を行っていた疑惑が高まっています。 一説には元JOC会長であったかのやんごとなき方が絡むルート として設定されたのが今回摘発されたサンアローとADK とも言われており、捜査の手が高貴なお方とうとうつながる 可能性も高まっているようです。 さらに興味深いのはADKルートでホールディングカンパニー の現役社長とともお縄頂戴となった元五輪担当本部長で既に 退社している多田俊明容疑者が野田聖子議員の義弟である ことで捜査線上に登場する人物たちが想像を超える複雑 な人間関係で構成されている点もこの捜査の大きな注目点 となっています。 このADKは1999年に旭通信社と第一企画が合併してできた 会社で80年代いち早く上場した旭通信社のアドバンテイジは 結局経営に活かされることがなく合併直前の1998年に世界 最大の英WPPグループと資本業務提携をすることになります。 ただこちらもビジネスモデルが国内と海外で大きく異なること から提携は全くうまくいかずに業績は低迷していました。 2017年にはアメリカ・ファンド、ベインキャピタルと組みTOB を実施、WPPとの提携は解消し2018年に3月には上場も廃止 してその後はさらに広告業界では目立たぬ存在となっていました。 現状では売上ベースでサイバーエージェントにも抜かれここから どこへ向かおうとしているのかは全くはっきりしない状況でした。 4年以上沈黙を続けたこの会社がいきなり東京五輪の贈収賄 で脚光を浴びることになったのも非常に関心の集まる状況 です。 ■古くから割り戻しあっせん料や回しが公的に定着していた国内広告業界 もともと国内の広告代理店には古くから割り戻しあっせん料など という慣習が公的に存在しており、媒体出稿などで売上になった 場合にはその何パーセントかを紹介者にキックバックやリベート として提供するというのは日常的に行われていたものです。 また回しといって売上を複数社でまさにその名のとおりたらい回し にして利益を折半するといった手法も当たり前のように実施 されてきています。新聞については昔は広告主ごとに扱い代理店 が設定されており、朝日新聞が電通扱だとした場合、別の代理店が 制作したキャンペーン原稿が掲載されると媒体社→電通→他代理店 →広告主といった具合に商流が出来上がるといったケースは常態 的に行われてきた歴史があります。広告主がハウスエージェンシー を設立している場合にはそこを通して敢えて商流に親会社の利益を 合法的に落していくなどというのも日常茶飯事で、この業界で 長く生きてきた人間にとっては商流組み込みで利益折半とか リベート提供などは真っ先に思いつくアイデアだったのかも 知れません。ましてコンサル会社をかましてコンサル料が設定 できれば裏金が取り締まられることなど高橋容疑者は全く心配して いなかったのかも知れませんが、みなし公務員という存在がそれ を一気に突き崩すことになってしまったようです。4度目の逮捕で こんなはずではなかったと後悔している状況が目に浮かびます。 ここまでの事件の解説をしますと贈収賄の中心に高橋容疑者が存在 するのは間違いなく諸悪の根源はこの人物とされがちですが、その 後にこうした汚いマネーを受け取っている政界・元政界関係者が存在 するであろうことは素人でも想定できるところで、アベのふたなる ものが消え失せた今、東京地検特捜部は積年の恨みを一身に晴らすべく 完全解明と巨悪の総逮捕に向けて動いているようです。それに しても貝のように押し黙って何も供述しない高橋容疑者もある意味 見上げた見上げた根性で、その背後でほっと胸をなでおろしている 現役政治家も多いようですが、ぜひとも検察には頑張っていただいて 悪人総殲滅に動いてほしいところです。

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