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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第494号2022.9.27 配信分
●アナタの回りに300km/h経験者はいるか?
300km/hでクルマを運転したことがあるだろうか?地球の総人口
は本年11月15日に80億人に達する見込みという。ネタ元は国連経済
社会局が去る7月11日にプレスリリースしたもので、まあ信じよう。
そんなことより300km/hだが、経験したことのある人って果してど
れだけいると思いますか?
私は全世界で精々10万人、100万の桁はないと思う。現実問題と
して、0.00001%(千分の一)の8万人もいるとしたら相当多いと
感じる。どなたかご存知なら教えていただきたい。
300km/hは単純計算で100km/hの3倍。G7(先進7ヶ国)中最低
の法定最高速度を長く続ける日本に暮らす国民が(合法という意味
で)日常的に経験するスピード×3だろうと誰もが意識している。
そう考えると単純化されて分かった気になれるのは確かだ。
常日頃経験しているレベルからの発想としてはリアルだが、果た
してそれは現実感を伴っているだろうか。2倍の200km/h程度なら
その気になれば不可能なrangeではないが、3倍300km/hとなるとほ
とんどが未知の世界。それ故真剣に考えることはなくなっている。
100人のクルマ好きの内、一人でも300km/h経験者がいたら奇跡的と
いえるはずで、ほとんど誰も経験してはいない。
その通りなのだが、超高速で走れること=高性能となっている現
代の価値観は、ほとんどの人が実感することなく闇雲に信じ込んで
いる。言葉と数字が幅を利かせるだけという、奇妙な世界が延々と
続いていることになる。
100km/hは秒速28m、200km/hは同56mで300km/hは同84mになる。
瞬きしている間に100m徒競走の84%を走り切っている。当たり前
の話だが、その事実を現実の問題として捉えられるのは経験した者
以外にあり得ない。
300km/hは1時間に300kmの移動が可能という概念を表す物理量だ
が、その実現は容易じゃない。まずハードウェアとして動力を産み
出すエネルギー源が不可欠だ。内燃機関(ICE)の場合、速度の
二乗で増加する空気抵抗に打ち勝つ必要がある。少なくとも400馬
力は必要とされ、その動力性能に見合ったメカニズムや空気抵抗の
少ないボディ、動力を余すところなく伝えるタイヤのグリップ力と
それに耐える構造強度など、芋づる式に要素が増えて行く。
『クルマ』語りを続ければ止め処なく広がる。これ以上の言及は避
けることにするが、仮に優れたハードウエアを手に入れても速度を
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