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第716回 ペトロドルは本格的に終焉か?ある中央銀行の動き、プレヤーレンの最新コンタクト記録
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▼今回の記事
今回は、サウジアラビアとロシアが主導する「OPECプラス」による日産200万バレルの減産決定の影響を詳しく解説する。これは単なる減産ではなく、「ロシア・サウジアラビア枢軸」とも呼べるような新しい体制の形成かもしれない。これは将来的に基軸通貨、ドルの覇権を脅かす結果にもなる。
最後に、10月6日に行われたプレヤーレンの最新コンタクト記録、第823回の要点を一部を紹介する。
▼OPECプラスの減産はペトロドル終焉の序曲か?
それでは早速今回のメインテーマを書く。「OPECプラス」による減産決定が、ドルの基軸通貨体制終焉の序曲となる可能性についてである。
日本でも大きく報道されたので周知だろうが、10月5日、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は閣僚級会合で、11月から日量200万バレルの減産を実施することで合意した。
この減産幅は世界需要の2%に相当し、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック以来、最も大幅なものとなる。大幅減産を発表する数日前、米政府はサウジアラビアと湾岸の主要生産国に減産を1カ月先送りするよう求めていた。だがアメリカへの答えは断固とした「ノー」だった。
この減産は、原油価格の反転上昇につながる可能性がある。そして、大幅な減産が原油価格の上昇を引き起こした場合、中間選挙を控えた米バイデン政権を刺激する可能性が高いと見られている。戦略備蓄の追加放出のほか、「石油生産輸出カルテル禁止(NOPEC)法案」への支持が拡大する可能性もある。
この減産の決定は、欧米の厳しい経済制裁下にあり、経済を安定させるため、エネルギー価格の高止まりを望むロシアの意向も反映したものとなった。これで、欧米が目指すロシアへの経済制裁の効果は減じられることにもなる。
●アメリカの怒り
こうした動きにバイデン政権は強い不快感を示し、反撃する姿勢を明確にした。16日、サリバン米大統領補佐官は、アメリカとサウジアラビアの関係見直しを巡り、バイデン大統領の選択肢には「サウジへの安全保障支援に対するアプローチ変更」が含まれるとの認識を明らかにした。
サウジアラビアは戦後70年間、アメリカの中東におけるパートナーであり、中東政策の拠点である。1990年の湾岸危機以来、自国防衛のために米軍を受け入れてもいる。イスラム原理主義的傾向の強い国内保守層の反対で2003年には米軍は撤退したが、2019年には再度駐留している。また、サウジアラビア軍の兵器の多くはアメリカが供与したものだ。アメリカとの同盟関係は、サウジアラビアの安全保障の機軸である。
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