■投資思考で大きな成果を上げる
人生は意思決定の繰り返しだ。些細なことから大きなことまで、毎
日数え切れないほどの意思決定をしている。その結果の積み重ねが
人生になる。意思決定は極めて重要なのだ。
ここでは、よりよい意思決定を行うための原理原則を紹介する。よ
り良い意思決定ができるかどうか決めるのは、地頭や勤勉さ、ま
してや運ではない。秘訣は物事の捉え方だ。
金融市場に身を置く人間は、投資の世界の原理原則「投資思考」を
もとに意思決定を繰り返している。これは人生の様々な局面の意思
決定においても生かせるはずだ。
「リソースを投下し、リターンを得ること」が投資だ。人生で遭遇
するあらゆる出来事の一つ一つが投資といえる。たとえば、MBA
留学するべきかという意思決定をするとする。
これは、限られた時間や体力を使って、より大きなキャリアアップ
や昇進を獲得しようとする行動だ。意思決定の際には投資思考が生
きる。それを身につければ、人生はより良いものになるのだ。
★
人生は、一気に転落することはあるが、一気に成功することはほと
んどない。また、時間の流れは非対称的で、行った意思決定を取り
戻すことは難しい。
さらに、過去に積んだ経験が、複利的に将来の機会を規定してしま
う。つまり、成功に近道はなく、小さな努力、細かい正解を積み重
ねていった先にこそ成功が待っているのだ。
だからこそ誤った選択を行わないことだ。投資思考を実践すれば、
世の中を正しく認識し、誤りのない意思決定が行える。それを繰り
返せば、他の人よりも大きな成果が残せるはずだ。
★
時間を味方につけることだ。時間の進み方は非対称なのだ。過去か
ら未来へと一方向に進むからだ。この非対称性をどう活かすかを考
えることが人生の必勝法だ。
また、投資の世界では「複利は人類最大の発明」という。一方向に
しか進まない時間の流れを味方につけて、その経過が自分に有利に
働く意思決定をし続けることが重要だ。
この考えを生かせば、主力事業が順調に伸びている時に「羽を伸ば
して旅行や趣味に精を出そう」とはならない。「余剰時間で新しい
事業アイデアを探したり次の成長のタネを仕込んでおく」になる。
世の中は決して平等ではない。その中で唯一平等なのが時間だ。そ
れを自分の成長に投資して「昨日より今日」「今日よりも明日」と
常に自分を高みに押し上げることが大事だ。
これにより、視野が広がり、より幅広いリソースにアクセスできる
ようになる。そうすれば、それまで見えなかったさらなる高みを目
指すという複利での成長のループに入ることができるのだ。
★
価値から評価の順番で考えることだ。評価を高めようとするのでな
く、価値を高めて結果として評価されることを目指すのだ。給料
(=評価)は、あくまでも顧客への貢献(=価値)の対価なのだ。
ところが、価値を生み出すことを抜きに「どうすれば評価が得られ
るか」「これだけ評価されているのだから当然価値も高い」という
言説が世の中にはあふれている。
たとえば、フォロワー数を評価指数にしたSNSの運用や「最速で
年収〇〇万円になる方法」といった書籍、累計調達額を喧伝するス
タートアップ界隈の人たちなどがこれにあたる。
こうした目先の評価だけを追い求める姿勢は、より本質的な要素で
ある価値の破壊につながる。年収や肩書などの目先の評価を追いか
けることからは離れるべきだ。
そして、自分の仕事で「どれだけ価値を生み出したか」「顧客や上
司ひいては自社の社業にいかに貢献したのか」に目線を合わせるべ
きだ。それさえできれば、評価は必ずついてくるはずだ。
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