【いざ東京へ】
「あい、お前自衛隊じゃないか?」
それは、スナックでたまに見かける顔のしまんちゅ(島人)だった。
顔は知っているが名前は知らない。
しかし、会うはずがない船の上で会うと知人ではなくても、知人のような気がしてくるのがウチナーンチュ(沖縄の人)の性格である。
「あい、キャッツでよく会ったよね」
「なんで、出張か?」
「違うよ、自衛隊辞めたよ、今から東京に仕事しに行く」
「あい、そーねー、俺も東京に仕事しにだよ、何しに行くの、俺は鉄筋屋」
「俺はちょっと新しいビジネスで友達に誘われて行く」
二言、三言話をすると、すっかり友達になるのが沖縄の人間である。
みつおはまだ新しいバイクと共に船で東京に向かっていた。
沖縄から東京まで、二泊三日である。
長い船旅だが、そこで知り合った島の人間は貴重だった。
その夜、さっそく船内のバーに飲みに行く約束をした。
しかし、そのバーは営業時間が短く入って30分で閉店だった。
沖縄では飲み始めるのが夜の8時くらいからなのでその感覚でいったら、夜の9時閉店だったのだ。
「えっ?まじで?今からがスタートじゃないの?」
しょうがないので、二人はビールが売っている自販機の前のベンチに座って飲み始めた。
島の飲み屋の女の子の話で予想以上に話が盛り上がり、気がつけば…
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