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第51回:医療DXの行方‐補正予算への影響のよみときかた‐

政策人材のための教科書 ~現場の声を政策につなげるために~
  • 2022/10/24
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1)医療DX推進本部立ち上げの意義 2022年10月12日、総理を本部長とする医療DX推進本部が立ち上がりました。医療分野のデジタルトランスフォーメーションによるサービスの効率や質の向上を政権として、後押しすることを示した形です。 政策が大きく動くきっかけにはいくつかあります。社会的にインパクトのある事件・事故の発生、与党議員などを中心とした議連の意思表示、裁判所の判決などはその一つですが、新しい組織体の立ち上げも、政策が大きく動くきっかけの一つに当たります。 新しい組織体を立ち上げることの意義は、政権の姿勢を示すことにあります。新しい会議体が立ち上がればメディアも大きく取り上げます。これまでも各省庁で進めていた内容を政権が責任を持って進める、ということを示すことにもなります。この会議を立ち上げることにより、「医療DX」については岸田政権が他の政策課題よりも優先して前に進めるということを示した形です。 今回の会議の構成員は、総理大臣をトップとして、官房長官、厚生労働大臣、デジタル大臣、総務大臣、経済産業大臣と医療DXに関係する関係閣僚が名を連ねています。総理の指示のもと、政府内の医療政策、デジタル政策、ICT政策、産業政策など様々な角度から医療DXを推進していこうというのが、今回の医療DX推進本部なのです。 【参考】医療DXとは 医療DXが進むと結局何が起こるのか、ということを理解できている人は少ないかもしれません。こんなことが想定されています。 -これまでの医療情報が確認・共有できるようになる これまで自治体で受けた健診や予防接種の情報、カルテ情報やレセプト情報がシステムで共有され、医者の診察時に参照できるようになり、また自分でも確認できるようになる。 -医療機関同士での診療情報の交換ができるようになる 医療機関ごと、ベンダごとの独自システムにより、これまで医療機関間で共有できなかった医療データを共有できるようになる。 -診療報酬改定時のベンダ・医療機関負担の軽減 国は2年に一度、3月に医療にかかる値段を決める診療報酬改定を行っているが、改定がある年の2月~5月はベンダや医療機関がシステム改修のためのコストを多く払わなければいけない状況があった。医療DXにより、業務負荷を軽減することが期待されている。 -マイナンバーカードへの一元化 健康保険証、診察券、予防接種の接種券、母子健康手帳、お薬手帳などがマイナンバーカードに一元化される。 参考:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/pdf/siryou4.pdf

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