メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

【【Vol.453】冷泉彰彦のプリンストン通信『アメリカ中間選挙の直前情勢』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「中国共産党人事の第一印象」  常務委員会の「オール習派」には驚きました。北京の蔡奇まで入ってくる というのですから大変です。李克強の完全引退は「蘇軾ではなく、陶淵明に なりたい」という意味ではご本人としてはソフトランディングかもしれませ んが、やはり全体構図としては非常に困ったことです。  さて、今回の共産党人事の評価ですが、直後の感想ということでランダム なメモ書きとさせていただくことをお許しください。 「不気味なのはまずGDP発表を延期したこと。恐らく数字は悪いのだろう が、その意味も含めて、非常に気になる。数字を思い切り良い方向に改竄し て、李克強の出したあらゆる警告を無視するのか、それとも悪い数字を出し て旧政府の責任にするのか、もしかしたらGDPなど重要ではないと居直る のか、まずは注目」 「中央委員205名に第7世代がゼロというのは、完全にポスト待ちの第6 世代で、習近平への忠誠を誓った人物が溢れている証拠。このグループが2 027年から32年まで居座るようだと、統治のクオリティは相当にまずい ことに」 「上海ロックダウンを完遂(?)した李強、北京の五輪を同じくロックダウ ン方式で完遂した蔡奇の2人が常務委員というのは、この2つの事件を重視 しているということの証拠。その裏には、この2つに猛烈に苦労したこと、 またそれに対する潜在的な世論の反発があると予測できる」 「事実上潰れている恒大集団をどうするのか、創業者の反骨精神が問題視さ れた阿里巴巴をどうするのか、まずはこの2つに注目」 「他派閥の排除それ自体は、歴史的に珍しくもないわけで、鄧小平にしても 改革開放をやり抜くために徹底的に権力集中をやった。だが、今回は脱自由 経済、脱グローバリズムという点に、そして格差の強制是正という思想的に は反動に振るための集権であり、やはり歴史的には大きな事件」 「その一方で、優秀な若手官僚がたくさんいるのも事実。問題だらけの党中 央、問題だらけの国務院になっても、そうした若手が実務的に支えきること で、大破綻を回避する可能性もゼロではない」 「中国の若手世代、つまり2つの天安門事件を知らず、気づいたときにはG DP世界第2位になっていた世代というのは、自由と豊かさを当たり前に享 受する世代。具体的には、今回クールのCXの繊細なドラマ「Silent」を勝 手に「静雪」というタイトルをつけて見入ったりしている。また、ヴァン・ クライバーン国際ピアノコンクールで、辻井伸行さんと共に優勝した張昊辰 (ハオチェン・チャン)氏の最新の「ベートーベン協奏曲全集」などの洗練 を聞くと、豊かさがある臨界点を越えていることを感じる。こうした世代を 抱えつつ、物理的+精神的な豊かさを抑圧するのは難しいのではないか」 「清朝で言えば、康煕雍正の時代どころか、乾隆時代の中期に突入という印 象。縁起でもないが」 「胡錦涛の退場は、反対派への見せしめという意図を否定はできないだろう。 その一方で、中国の多くの人は「濃厚接触認定がポップアップして連れ出さ れた」という印象で見ているようで、それはそれで興味深い話」 (以上)

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎月 第1火曜日・第2火曜日・第3火曜日・第4火曜日