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佐々木俊尚の未来地図レポート 2022.10.31 Vol.728
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【今週のコンテンツ】
特集
ネットの世界で読まれる記事に大事なのは「ナラティブ」と「ライブ感」だ
〜〜〜ストーリーとナラティブの違いを学ぶ
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
ネットの世界で読まれる記事に大事なのは「ナラティブ」と「ライブ感」だ
〜〜〜ストーリーとナラティブの違いを学ぶ
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インターネットで読まれる文章とは、どのような文章なのでしょうか。
「短い方がいい」「単純明快な方がいい」といったことがよく言われていますが、わたしはこれらの指摘はあまりにステレオタイプすぎて、正鵠を射ていないのではないかと思います。実際、noteなどを見ていると、非常に長いけれどもたくさんのビューを稼いで多くシェアされ、人気になっている記事を見かけることがあります。
こうした人気記事の特徴をひと言で言えば、「一緒に並んで座っている友人に語りかけるような口調」を持っていることだと言えるでしょう。
「並んで座っている」といま書きましたが、このような読者との「距離感」や「位置関係」というのは、けっこう重要なポイントです。
たとえばテレビとラジオの違いという有名な説明があります。テレビのスタジオで司会者はカメラに向かい「テレビの前の皆さん」と呼びかけます。スタジオにはたくさんの出演者が並んでいて、しゃべる方も多人数。見ている視聴者も多人数。つまり「多人数vs多人数」という構図を秘めているのです。
しかしラジオのパーソナリティは「皆さん」とは言いません。「ラジオの前のあなた」と呼びかけるのです。ラジオに出演しているのはたいていひとりかふたり。多くてもせいぜい3、4人でしょう。それ以上の人数が出ている番組もときにありますが、誰が何をしゃべっているのかよくわからなくなります。人数は少ない方がいいのです。だからラジオの基本的な構図は「ひとりvsひとり」。
とはいえ「向き合い方」で言えば、テレビにしてもラジオにしても、「対面している」という点では変わりません。それに対してインターネットでは、対面しているのではなく「そばにいる」という感覚があります。そばに座っているだれかに話しかけているのです。
なぜネットは「対面」ではなく、「そばにいる」なのか。これには二つの要素があります。
第一には、ネットメディアには強い当事者性があるということ。
第二に、テレビやラジオにはない、インターネットならではのライブ感覚があるということ。
この二点について説明していきましょう。
まずネットの当事者性について。皆さんは、「ストーリー」と「ナラティブ」という区別をご存じでしょうか。
これは日本語に訳すと、どちらも「物語」となる英単語です。しかし意味は微妙に違います。ストーリーはエピソードの単なる積み重ねという一般的な「物語」として考えればいいでしょう。これに対して、ナラティブはちょっと違う意味づけがされています。
ナラティブは医療や看護の文脈でも使われますが、ここではマーケティング分野でのナラティブについて説明してきます。
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