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第189号 負担軽減策は絵に描いた餅/ガラパゴスBBAの逆襲/秋収/10月29日から31日の出来事

きっこのメルマガ
  • 2022/11/02
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「負担軽減策は絵に描いた餅」 岸田文雄首相は10月28日、「総合経済対策」を閣議決定し、夕方の記者会見で次のように述べました。 「今回の対策は、物価高克服、経済再生実現のための総合経済対策です。物価対策と景気対策を一体として行ない、国民の暮らし、雇用、事業を守るとともに、未来に向けて経済を強くしていきます」 岸田首相の説明によると、事業規模72兆円、財政支出39兆円の大型対策によって、GDPを4.6%押し上げ、消費者物価を1.2%以上引き下げるそうです。そして、物価対策の柱としては、電気、ガス、ガソリン代などの高騰に対し、標準的な家庭で来年1月から9月までに1世帯あたり4万5000円の負担軽減策を導入すると述べました。そして、ツイッターでも次のツイートをしました。 岸田文雄 @kishida230 39兆円の総合経済対策を閣議決定しました。 電気・ガス・ガソリンの負担軽減策で1家庭当たり総額4万5000円の支援。子育て世帯を応援するため10万円相当の子育て支援パッケージ創設。4万4000円の旅行支援などコロナ禍で縮んだ消費を取り戻す。 物価高克服、経済再生実現のための総合経済対策です。 午前0:17 2022年10月29日 https://twitter.com/kishida230/status/1586014233182945281 ここまで聞くと、全国すべての世帯が、電気、ガス、ガソリンの負担軽減策によって、1世帯あたり4万5000円の支援が受けられると思っちゃいますよね?でも、これは大嘘なのです。岸田首相は会見では「標準的な家庭で」という枕詞(まくらことば)を使いましたし、このツイートに貼られた一覧表にも「家計支援 電気・ガス・ガソリン合計4万5000円負担軽減」のところに、小さな文字で「標準世帯」と明記されているのです。 で、この「標準世帯」って何?‥‥というわけですが、これは政府が税や社会保障の給付や負担などを計算する上でのモデルケースとする世帯形態で、「夫婦2人と子ども2人の4人家族」のことなのですが、これには「働いているのは夫だけで、妻は専業主婦」という縛りがあるのです。 総務省が「家計調査」で「標準世帯」の調査を始めた1970年代には、このパターンの世帯が最も多かったので、これを「標準世帯」と定めたのです。しかし、夫の賃金が上がらずに物価ばかりが上がり続ける長年の自民党政権の悪政によって、「夫婦共働き」という、この「標準世帯」から外れる世帯が増え続けました。そして、その後は、少子化が進んで子ども2人の世帯が減少し、ひとりっ子世帯や夫婦のみの世帯、そして、結婚しない単身世帯が増加したのです。 2017年の時点で、最多は全世帯の約35%を占める「単身世帯」です。国立社会保障人口問題研究所の試算によると、このまま進むと2040年までに単身世帯が全世帯の4割を超えるそうです。一方、政府が「標準世帯」と定める世帯は、今では上から9番目で全世帯の4.6%しかありません。「夫婦共働きで子ども2人」の世帯も6.8%なので、「夫婦と子ども2人の4人家族」という世帯は、合計しても全世帯の11%ほどしかありません。 そして、このケースの世帯であれば、来年1月から9月まで毎月5000円程度、計4万5000円程度の負担軽減策が受けられると、岸田首相は述べたのです。つまり、日本で最多の単身世帯、夫婦だけで子どものいない世帯、ひとり親世帯、高齢者だけの世帯など、多くの世帯は、岸田首相が示したモデルケースよりも遥かに低い金額しか軽減されないのです。

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