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<Vol.1281号:変動相場制の矛盾が、大きくなった2022年>
2022年11月02日:ドル基軸体制の、矛盾の拡大
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「ドル/円」は、2022年3月の115円付近から、147円台に上がっています(7ヶ月で28%のドル高/円安)。
ドル高であれ、円安であれ、7か月で28%、年率換算では48%にもなる変動は異常なものです。本稿では、1971年の金・ドル交換停止のあとのスミソニアン体制が紹介した1973年からの変動相場について、原理的なところから解き明かして行きます。
【GPIF:日銀以外で最大の、国債と株の買い手】
GPIF(年金基金の運用機関)は、国民の年金を基金として預かり、国債、株、債券で運用しています。運用額は194兆円です(22年8月末)。ファンドの規模としては世界最大です。
利回りがいつも円より高かった、ドル建ての米国債と株に50%の97兆円、円国債と株には同じ金額の97兆円を投資しています。
年率平均、3.56%の運用益という(2001年~2022年3月)。金額では年間5兆円から6兆円の利益を上げています。
(GPIFの基金の運用状況)
https://www.gpif.go.jp/operation/53297468gpif/2022_1Q_0805_jp.pdf
公的年金(基礎年金、厚生年金)の支給額が54.9兆円に膨らんでも、正常に払われているのは、運用利益があったからです。
年金受給者数は、延べでは6700万人ですが純計では4000万人でしょう。国民のうち32%ですが、世帯数では2532万世帯です。
総世帯の48%が年金受給者という、驚くべき事態になっています。スーパーに行くと70歳以上に見えるご夫婦と主婦、そして単身生活者です。
【運用利益は、金利が上がると価格が下がる国債と株価に依存】
2022年のように米国の金利が3ポイント上がって、米国債と日米の株価が下落して損をすると、基金の取り崩しが必要です。公的年金の財源は減って行きます。支給額を減らさないためには、国債の増額発行しか方法がない。
194兆円の年金基金は、日米の国債価格と株価に依存していると知っておいでください。加重平均で運用基金の金額が20%下がると、1年分の年金支給額の71%の、38.8兆円という大きな損が発生します。
社会保障費の総額132兆円は、全部、特別会計です。
1)年金支給58.6兆円、
2)医療費40.8兆円、
3)介護・福祉その他が31.5兆円。
社会保障費の支給額132兆円に対し、入ってくる保険料は、74.1兆円(56%)しかない。不足する60.9兆円は、国債として政府負債の増加になって、将来に飛ばされています。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202210_04.pdf
【留意事項は、LDI】
日本の年金基金(運用資産194兆円)については付言しなければならないことがあります。9月末に暴落した英国金基金のように、年金LDI(多重負債で増やす投資)という、決済日までは、簿外の損として隠れるレバレッジ取引を行っているところが多いからです。国債の金利が低いため、LDIが、広く行われたのです。
LDIは保有している国債や株を担保に入れることを繰り返し、借りたお金で国債を多重に買い、低い金利の国債の金利収益を高める方法です。LDIは、借り入れ金利が上がると、利払い金額が急に増えて、破綻します。英国年金基金がこれでした。日本を含む世界の年金基金が、英国風のLDIを多く行っていれば、銀行より早く、多重レバレッジによる利払い額の急増で、金融危機を引き起こす可能性があるのです。
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