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ビジ選☆リーダーズ Vol.972『教養としての決済』(ゴットフリート・レイブラント)

ビジネス選書&サマリーリーダーズ
■教養としての決済  人は決済に囲まれて生きている。平均して一日に一回は決済してい る。たいていの人は、それよりずっと多い。決済はとてつもなく強 力で重要なのだ。 人間が進化する上で重要な役割を果たした抽象概念は、宗教と文 字、そしてお金だ。その重要性は誰もが理解している。その目的 は、使うこと、つまり決済することだ。 だから、もっと決済を理解するべきだ。決済が正しく行われば経済 活動は活発になり、誤れば妨げられるのだ。決済がなければ、お金 は機能しなくなる。その結果、経済や社会も機能しなくなる。 しかも、決済は今日特に重要だ。変化は急速に進み、かつてないほ どエキサイティングになっている。世界中で慣習が覆っている。こ れまでないほどの資金がこの分野に流入している。 ★ 決済に関する選択は、広範囲に影響を及ぼす。決済方法も用いるツ ールも変化している。新たな手段は、今まで不可能だった場所や方 法でお金を使ったり、借りたりすることを可能にしている。 すべてを無視したり、一部の専門家にまかせたりするにはあまりに 重要な事柄だ。本音で探求するべきだ。決済方法を変えることは、 機会をもたらすだけでなくリスクももたらす。 テクノロジーが決済を変えつつあるが、万能の解決策などない。大 きなかけなのだ。社会は貨幣社会だから、誰もがお金が使えること が前提だ。 決済へのアクセスによって、人が社会に参加できるのかどうかが決 まる。身勝手な決済方法を選択すれば、一部の人々がお金を動かせ なくなり、社会から排除されてしまう。 たとえば、デジタル社会の参政権をもつ大都市住民がキャッシュレ ス決済を選べば、地方や貧困層、高齢者、などデジタル弱者の人々 が不当に負担を強いられたり、排除されたりすることもあるのだ。 ★ 決済の方法に応じて、誰が自分たちのデータにアクセスできるか、 決済によってどんなリスクを負うか、支払いのためにいくら支払 うかが決まる。変化しているのは決済手段だけではないのだ。 決済をサポートするシステムや、システムの所有者にも変化が起き ている。同時に、決済の経済的側面が変化し、決済の政治的側面が 変化し、決済の背後にいる権力者も変化している。 決済方法のあらゆる部分をめぐり、中央銀行からソーシャルメディ アの巨大企業まで、様々なプレーヤーたちが競い合っている。決済 の選択一つ一つが、決済の未来を左右しているのだ。 自分たちの選択が、誰が決済から利益を得るか、どれくらい利益を 得るのかを決定する。同時に、誰が決済の力を所有し、いかにその 力を行使しうるのかを決めているのだ。 ★ 決済は、リスク、流動性、テクノロジー、ネットワーク、慣習から 構成されている。銀行は、リスクや流動性が得意で、テクノロジー やネットワークに関しては平均的、慣習に関しては苦手だ。 一方、テクノロジー企業は、銀行を反転した存在だ。テクノロジー とネットワークが得意で、慣習を創り出すことにも長けている。だ が、リスクと流動性に関しては専門知識がない。 にもかかわらず、今テクノロジー企業が、決済に殺到している。ネ ットワークの力とマーケティングの見識で、決済を預金から切り離 し、その過程で決済の習慣を変えつつある。 これらの企業がもたらした決済の簡便性が、商取引を刺激してい る。だが、決済をその他の銀行サービスから切り離したところで、 ほかの影響も生じている。 社会が考えるお金の世界のしくみと、実際のしくみとの間には大き な隔たりがあるものだ。その隔たりの結果、社会が代償を支払わね ばならなくなる事態が起きるかもしれないのだ。

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