外敵を強調する習氏の腹
棚上げ「改革開放政策」
ねじ曲げる国民の価値観
王滬寧は習近平「軍師」
中国の習近平国家主席は、独裁者に共通の手を使い始めた。国内矛楯を外に向けさせる、というものだ。習氏は、「中国の安全保障は一段と不安定で不確実になっている」とし、あらゆる戦争に備え軍事訓練と準備を総合的に強化すると述べた。中国国営中央テレビ(CCTV)が11月8日報じた。唐突な発言である。
この発言の裏にある「種」は、習氏が蒔いたものだ。ロシアのウクライナ侵攻に対し、中国は非難せず支持したことに始まった。これによって、中国も台湾侵攻に踏み切る前兆と見られたのである。7月末のNATO(北大西洋条約機構)は、新たな「戦略概念」において、ロシアに次いで中国へ警戒姿勢を明らかにした。
習氏は、なぜ冒頭のような発言をしたのか。NATOが、警戒姿勢を取っていること。アジアでは、対中国を目標にした緩い結束である「クアッド」(日米豪印)や、軍事同盟「AUKUS」(英米濠)が存在すること、などを上げているのであろう。だが、「クアッド」や「AUKUS」は、中国の軍事拡張を警戒した抑止措置である。
南シナ海の軍事基地化は、ASEAN(東南アジア諸国連合)への脅威になっている。また、台湾侵攻予告は、自由と民主主義という価値観を守る西側諸国にとって、ウクライナが侵攻されている現状と同じ危機感の対象である。中国は、台湾を自国領土ゆえに奪回するとしている。だが、台湾には確固とした主権が存在する。その台湾が、軍事侵攻されることは許さない事態だ。国連精神から見ても、台湾は防衛されなければならない対象である。
外敵を強調する習氏の腹
習氏は、「中国の安全保障は一段と不安定で不確実になっている」とし、あらゆる戦争に備え軍事訓練と準備を総合的に強化すると発言した。現在の中国は、開戦準備をする前にやるべき「仕事」があるのだ。人口14億人の生活を向上させることである。現在の一人当り平均名目GDPは、1万2562ドル(2021年)である。21年の人民元相場が上昇したので、前年よりも19.3%も増えた形だ。
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