【ビジネス展開】
「はじめまして、沖縄から来ました金城です。よろしくお願いします」
「あ、沖縄からバイクで乗り込んで来たとう方ですね、噂は聞いてます。よろしくお願いします」
沖縄からこのビジネスのために上京してくる人がいるという噂が広がっていたようで、ビジネスの名刺交換会で沖縄というだけで有名人になっていたのだった。
このようなビジネス界隈では、その人のドラマが大切になってくるので、ただ沖縄から上京してくるというよりも、リュックを背負ってバイクで乗り込んできたという方が話題性があり、みつおが来る前から大袈裟な情報が広まっていたのである。
「沖縄から身一つでくる人にくらべてお前らは恵まれているんだから、もっと頑張れよ」
リーダーが下の人間を動かすために活用していたのである。
みつおは何が凄いのか分からなかったが、後から考えるとかなり無謀なことだったと知った。
しかし、その時は憧れの東京に来ただけてテンションが上がっていたので、夢の中で生活をしているようなフワフワとした楽しい感覚だったのである。
だが、2ヶ月目になると現実に目を向けなくてはならなくなったのだった。
「ヤバい、貯金が無くなる」
自衛隊を辞め、それまで貯金していたお金の半分を実家に入れ、残りの貯金で何とか上京し一気に稼ぐ予定だったのだが、実際にはそんなに甘くなく、お金になるのはまだまだ先の話だった。
このビジネス一本で生活している人はリーダー格の人くらいで、他の人は仕事をしながら副業としてやっていたのである。
だから、仕事を辞めてバイクで乗り込んできたみつおは伝説の人間になっていたのだ。
しかし、それとビジネスが上手くいくかは別問題である。
居候させてもらっているから何とか成り立っているのだが、毎日の交通費や食事やタバコ代などは、自分でやりくりしなければならない。
みつおはアルバイト情報誌を見つけて睨めっこいていた。
ビジネスの事務所に近い所でバイトができたら都合が良いと思い、いいバイトがないか探していた。
「新宿か、渋谷まで近いからいいかも」
そこは新宿3丁目にある綺麗な丼物専門のレストランだった。
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