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肺癌患者さんの会パート2

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室166.2022.11.13. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** 肺癌患者さんの会パート2 前回、三重県で肺がん患者会があり、もう10年以上続いていること、紆余変転をへて、松阪市民病院で偶数月の第一日曜日、朝10時から12時までの間開催されていることをお話しさせていただきました。今回は、その第二弾をお話ししたいと思います。 人間はどのようなことに悩み、その悩みを他人と共有したくなるのかと考えてみましょう。過ぎ去った悩み<現在進行形の悩みということになろうかと思います。過ぎ去って、解決した悩みはあまり思い悩まないわけです。 じゃあ、肺がん患者さんの会を訪れる患者さんが、どのような方か、考えてみましょう。例えば、早期肺癌で手術を行い、現在完治されている方は、あまりいらっしゃいません。訪れる方は、現在進行形で治療を行っている進行肺がんの方が圧倒的多数を占めるわけです。進行肺がんの方でも、例えば、抗癌剤治療の副作用がかなり出現しており、体調的に外出が難しい方や、がんによる痛みや苦しみが強い方は、参加することが難しいわけですので、症状が落ち着いて元気な患者さんがほとんどなわけです。 進行肺がんの患者さんは、昔は放置すると半年未満の平均余命しかないと言われておりましたが、現在は予後が改善し、5年以上(いやそれどころか、、、)元気で生存されている方も多いわけです。 進行がんである、症状が落ち着いている、治療の副作用が少ない、その3つの条件に合致した方が、肺がん患者さんの会に参加されていることが多いのが現状です。それに加え、自分自身について考える時間があるのかどうなのかということも問題です。考える時間が短ければ、がん患者さんの会に参加されることはないわけですので、必然的に上記3条件に合致する期間が長期にわたって続いていることが必要なわけです。 そのような方はどんな患者さんか?考えてみると、EGFR遺伝子変異、あるいはALK陽性患者さんが圧倒的に多かったわけです。EGFR遺伝子変異陽性肺癌、ALK陽性肺癌に対する分子標的薬内服による治療は、他の抗がん剤治療に比べると、圧倒的に副作用が少なく、がんに対する効果も高いことが多く、しかも長期にわたって効果が持続します。したがって、肺がん患者さんの会に参加される方の多くはEGFR遺伝子変異、あるいはALK陽性患者さんで、分子標的薬の内服を行っている方だったわけです。 一昔前は、肺がん患者さんの患者会に参加される方のほとんどは、EGFRやALKなどのドライバー遺伝子陽性の方ばかりだった印象があります。ところが最近になって、患者構成が少しづつ変化してきていることを実感します。 化学療法や放射線療法、あるいは免疫療法など、かなり厳しい治療を行っている患者さんの数が少しずつではありますが、増えてきているわけです。2つの理由が考えられます。1つは、治療の支持療法(例えば吐き気止めなど)が進歩してきて昔ほど治療がつらくなくなってきたこと、もう一つは、治療が効果的で長期にわたって無症状で肺がん制御が可能になってきたことです。 ***************************** ドクター畑地の診察室166.2022.11.613号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 次号は2022.11.20.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください! ◆2022年10月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2022/10 2022/10/30 ホーリーサクセスフルナイフ 2022/10/23 いつまで治療を続ければよいのか 2022/10/16 年に一度の検診 2022/10/09 呼吸器疾患治療 2022/10/02 抗原検査、PCR検査はすべて単一か ◆2022年09月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2022/09 2022/09/25 しゃっくり 2022/09/18 1年に1回

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