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191回 医学博士と専門医というインチキ資格

和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
たまたま何かの飲み会で、「先生は論文博士ですか?」と聞かれた。 ややこしい話だが、事情を説明した。 実は、私は医学博士を東北大学で取っている。 もともと博士の学位にこだわるつもりはなかったし、東大の精神科の教授とは喧嘩別れ状態なので博士のもらいようがない。 ただ、当時の東北大学の老年内科の教授から、老人を診るのに認知症(当時はまだ痴ほう症といった)が診れないとまずいので手伝ってくれないかという話になって、ボランティアで月に2回、仙台に通うようになった。 それから5年たったある日、実は研修生(といっていた気がする)として登録してあって、それが5年続いたので、論文を書くと博士になる資格を得た。だから何か論文を書かないかという。 私は何の研究もしていないのでと辞退すると、「ここの大学は、何を書いても落とすことはない。好きなことを書いて出してくれ」という。 同僚に聞いても、3年に一度しか落とされないという。前に落とされた人はショックで自殺したという話も聞いた。 何かまとまった論文を書くのも悪くないと思って、まじめに、高齢者に私がかねてから研究している当時もっともトレンディだった精神分析の流派、自己心理学を応用することの意義についての論文を書いた。 5例ほどの症例報告だったが、当時の東北大学の佐藤光源という精神科の教授が主査だったのだが、「こんなものは論文でなく、論説だ」といわれてものの見事に落とされた。 副査は粟田主一とかいうその子分の講師だったが、やはりぼろくそに言ってきた。 結局、翌年、ほかの人が集めてきたデータで論文を作って博士になったが、今でも不本意なので原則的に博士の肩書はプロフィールや名刺には載せていない。ただ、国際医療福祉大学の教授になるときにその肩書を教授審査の際に提出したのは事実だ。それをやっとやめることができて、少しほっとしている。 その後の経緯をいうと、私に関しては、その論文は世界中の自己心理学を専門とする精神分析家が投稿し、年間15本の優秀論文を掲載するProgress in Self Psychologyに査読の末選ばれた。日本人としては二人目の快挙(一人目も私だが)である。 東北大学の論文の読めない教授には360人中下から1位に選ばれた論文が、自己心理学の世界では世界の15本の論文に選ばれたことになる。 私を落とした佐藤光源氏はというと15年間の東北大学医学部精神科教授在任中、私も含めて一人も精神療法の論文に博士の学位を与えなかった。そのうえ、東北地方のあらゆる医学部の精神科の教授戦に介入して、東北地方に精神療法ができる精神科教授はいなくなった。 そのため東日本大震災の際に大量の震災トラウマの患者さんが生まれたが、ちゃんと診れる医者が少なく、いまだに苦しむ人も多い。私も今はZOOMになっているが、毎月、福島に心のケアのボランティアに行っていたが、これも佐藤光源のせいだと思っている。 粟田という医者は、この佐藤光源にゴマすりをすることで山形大学卒なのに東北大学精神科の講師になった男だが、その後も立ち回りがうまく東京都健康長寿医療センター研究所の副所長になっている。 東京都の聞こえがめでたいらしく、財政の配分もしているらしい。 佐藤という教授のもとで精神療法排斥の片棒をかつぎ、こんなに心のケアを無視する人間が重用されているようでは、東京都の高齢者の将来は暗いと思えてならない。だから東京都は高齢者の隔離政策を採り続けてきたのだとカラクリがわかる気がしてきた。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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