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【Vol.456】冷泉彰彦のプリンストン通信『米中間選挙結果に関する10の仮説』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「アメリカの役所・役人を日本と比較すると」 アメリカの「役所・役人のイメージ」を列挙してみたいと思います。 1)役所の管理職は、その分野の修士号+公共経営学修士(MPA)などが求 められ、高度な専門職としてジョブ型採用されるエリート。その代わりに、多 くの場合は民主党閥と、共和党閥に分かれていて、政権側の派閥だけが任用さ れる。政権がが下野すると、高級官僚もクビになり、通常は大学や研究所に転 職する。  一方で実務部隊は、マイノリティや貧困層を優先しつつ、書類選考を中心に 実力主義より形式主義で採用されて、終身雇用権のある雇用が組合によって保 護される存在。絶対に残業しないので、効率はそれなり。 2)管理職は必要に応じて残業するが、前述したように非管理職はほぼ絶対に しない。 3)どちらもジョブ型雇用なので職種の移動は原則としてない。但し、連邦職 員の場合はあるレベルより上は転勤がある。 4)対応がコロコロ変わり、適当な対応をされたり、丁寧にされたりバラバラ なのはアメリカも全く同じ「お役所仕事」。但し、金融行政や、安全保障関連 など、必要な場合は非常にスピーディで柔軟なこともある。一方で、年金事務 とか国税とかは、かなり非効率で杓子定規。 5)FAX可、PDF可になりつつあるが、民間と比較すると原本主義がまだあ る。例えば、国民皆保険導入の際など、アプリ開発費をケチった場合は、日本 のデジタル庁のような迷走もしたことがある。但し、国税、年金、免許事務な どは、DXで日本よりかなり先行。地方行政は州にもよるが、やはりDXでは 日本よりマシ。  ということで、日本よりはマシな部分がある一方で、とにかく絶対に残業し ない終身雇用の実務部隊については、日本より非効率です。その反面、政治任 用されるエリート層は、その時点で最先端の能力のある人材を抜擢するので、 日本よりはマシな人材が投入される傾向があります。また、前述したようにD Xは進んでいます。ということで、アメリカの「役所・役人」に関してはダメ な部分もある一方で、日本として参考にできる部分もあるとも思っています。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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