■糖質のよくある誤解
「おやつは脳を働かせるために不可欠だ」と考えるのは間違いだ。
間食で糖質を補給しないと集中力が途切れたりイライラしたりする
としたら、それは他の食事の摂り方に問題があるのだ。
糖質に頼らなくても、脳は最高の状態を作り出し、癒された状態に
なれる。むしろ、日常的な糖質過多こそが、イライラを作りだし、
パフォーマンスを下げているとさえ言える。
日本人の肥満の割合は男性33.0%、女性で23.3%だ。糖尿病で死
亡する人は年間1万4千人、糖質過多が原因となる非アルコール性
脂肪肝疾患は2000万人を超える。
これらの疾患が発展し、脳梗塞や心筋梗塞になり、早期死亡や要介
護状態になる。知らずに依存を引き起こし、習慣的に食べ続け、気
づいたら健康被害が深刻になっているというのが糖質の本性だ。
★
糖質は脳のエネルギーになる。だが、エネルギーは糖質だけではな
い。脳や体の他の多くの組織は、糖質がなくてもケトン体をエネル
ギーにできる。糖質を控えれば、中性脂肪からケトン体ができる。
ケトン体は、健康寿命をもたらす物質だ。老化防止、肥満の改善、
糖尿病やがんの予防や改善、アルツハイマー病などの脳機能の改
善、メンタル不調の改善など様々な効果を持っている。
一方、糖質の摂り過ぎは多くの病気のリスクを高める。朝はおにぎ
りやパンを食べないと脳が働かないという常識は間違いなのだ。人
間が農耕を始めるまで小麦や米をこんなに食べることはなかった。
人の体は、大量に糖質を摂らなくても生きていける。もともとエネ
ルギーとしてケトン体を作るシステムを私たちは持っている。その
働きを呼び覚ますことで心と体はもっともっと元気になれるのだ。
★
多くの人が、ストレス解消のために「甘いものを食べる」と言う。
お酒やタバコという声も聞く。だが、甘いもの、お酒、タバコを取
り入れているとストレスが増える。
甘いものを食べると、脳で快楽を感じるホルモンがドッと出る。そ
れは数分で消えていく。この快楽を感じる瞬間は高揚感がある。だ
から、ストレスが消えたような錯覚を覚えるだけだ。
食べるのをやめれば、すぐに元に戻る。こうして毎日、何度も甘い
もので快楽ホルモンの多量分泌を繰り返していると、普段のホルモ
ン分泌量が少なくなって、幸福のレベルが低くなる。
これこそが、ストレスを感じやすい状態だ。イライラや疲労が増え
るので、また甘いもので解消する悪循環にはまる。甘いものがスト
レスを解消するのではなく、ストレスレベルを上げているのだ。
★
脂っぽい食事をすると、体内の脂肪が増えそうだ。しかし、それは
間違いだ。中性脂肪を増やすのは、糖質とアルコールだ。本来、脂
質は体に必要な成分なのだ。
ビタミンの吸収に役立つし、細胞膜が安定して脳出血などの予防に
もなる。女性ホルモンや男性ホルモンを臓器に届けるのも、脂質
だ。足りないと運搬できず、更年期の症状が悪化する。
脂質を減らしても、糖質を摂り続ける限り、中性脂肪は減らない。
糖質は、体に入った後、エネルギーとして利用されなければ、脂肪
になり、肝臓に蓄えられる。
肝臓に過剰に溜まると脂肪肝になる。さらに中性脂肪になって血液
中を漂ったり、体脂肪として肝臓の外に蓄えられたりする。アルコ
ールは分解する時に肝臓で中性脂肪の合成が促進されてしまう。
糖質は、麻薬、アルコール、タバコなどと同じように依存物質だ。
食べると快楽が過剰に感じられるため「もっと欲しい」となり、常
に求めるようになってしまう。
一旦離れれば、それほど欲しくなくなるが、手軽に手に入り、周り
にも溢れているため、離れることは簡単ではない。脳、心、体への
危険性を考えれば、手軽なドラッグと言えるのだ。
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