メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.576]世界のEV化の流れから半ば脱落したトヨタ/戦略不在で衰退する日本の象徴

高野孟のTHE JOURNAL
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.576 2022.11.21                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《INSIDER No.1182》 世界のEV化の流れから半ば脱落したトヨタ/戦略不在で 衰退する日本の象徴 【2】《CONFAB No.542》 閑中忙話(11月13日~19日) 【3】《FLASH No.490》 岸田内閣の惨状は第1次安倍政権の崩れ方そっくりにな ってきた/日刊ゲンダイ11月17日付「永田町の裏を読 む」から転載 ■■INSIDER No.1182 22/11/21 ■■■■■■■■■ 世界のEV化の流れから半ば脱落したトヨタ/戦略不在で 衰退する日本の象徴 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  やや旧聞に属するが、11月2日に豊田章男=トヨタ自 動車社長/日本自動車工業会会長、有馬浩二=デンソー 社長/日本自動車部品工業会会長が十倉雅和=経団連会 長と共に首相官邸を訪れて岸田文雄首相に会い、脱炭素 化や電動(EV)化など変革期にある自動車業界の競争力 を高めるため「国の財源をどう使うか、税制の抜本改革 を含めて支援をお願いした。議論はスタートで、会合は 今後も不定期で開く」(豊田の会合後の記者会見)とい う。  そもそも「首相が特定の業界を相手に協議の場を設け るのは異例」(毎日11月2日付)で、そうまでして自動 車業界は政治に一体何を求めているのか、どの報道を見 てもはっきりしないが、この毎日の記事の中にヒントが 隠されていた。 ●恥ずかしいトヨタの陳情  「業界内ではガソリン車に代わってEVの普及が急速に 進めば、部品など下請け企業も含めて多くの雇用が失わ れる懸念が高まっている。一方、政府は2035年までに新 車を全てEVなどの電動車にする方針。このため業界側は 政府との連携を深め、有利な規制や税制整備などの支援 を取り付けたい思惑もありそうだ」  これ、分かりますか? 世界のEV化の急速な進展の中 でトヨタはじめ日本は致命的とも言える酷い遅れをとっ ていて、このままでは「下請け企業も含めて多くの雇用 が失われる懸念」があるので、政府が余り急速にEV化を 進めないようにして貰いたいし、その懸念が現実化した 場合は「国の財源」や税制優遇で救済して欲しいという 陳情に行ったのだと判る。  日本を代表する製造業大企業だと思われているトヨタ が、どうにもならない自分の経営戦略の失敗を税金で尻 拭いしてくれるよう願い出るという浅ましくも恥ずかし い姿で、まさに日本産業界の劣化を曝け出していると言 える。対する岸田も情けなくて、毎日記事による限り 「自動車産業はわが国経済、雇用の大黒柱だ。脱炭素化 などの転換点を迎える中で、官民が連携し、さらなる成 長にチャレンジしていく必要がある」と寝惚けたことを 言っている。本当なら「あなた方、雁首揃えて何を言い に来たんですか。トヨタの内部留保は24兆1042億円、ホ ンダは8兆9013億円(20年度末)。それを吐き出して派 遣社員、非正規社員も含めた史上空前の賃上げをやって くれないと、私の『新しい資本主義』は始まらないんで すよ」と叱りつけるのでなければならない。  経済も政治も劣化して、日本の将来像を切り開くため の戦略などどこにもないままお互いに寄りかかりなが ら、衰退に向かうのである。 ●豊田社長は「EV嫌い」?!

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 高野孟のTHE JOURNAL
  • 政治経済から21世紀型ライフスタイルまで、タブーなきメディア《THE JOURNAL》が、“あなたの知らないニュース”をお届けします!
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎週 月曜日