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小松成美の伝え方の教科書 vol.38「日本のラグビーを変えた平尾誠二の真髄を学ぶ」

小松成美の伝え方の教科書-ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術
「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」 vol.38「日本のラグビーを変えた平尾誠二の真髄を学ぶ」 【今週の目次】 ============== 1. 成美のつぶやき └ フジテレビ ドラマ『silent』に夢中! └ ずば抜けた実力を持った20代の脚本家 └ 誰も取り残さない優しい社会を目指して 2. 日本のラグビーを変えた平尾誠二の真髄を学ぶ └日本のラグビーに、平尾誠二あり └ラグビーの歴史を変えた日 └ラグビーは、〇〇が満たされるスポーツ!? └モデルになってラグビー界から去る!? └イギリス・ラグビーに学んだあること・・・ └自由を得ることの「スリル」と「喜び」 └これからの時代にも必要な「なんとかする」チカラ └大勝することがラグビーの楽しさではない 3. 小松成美オススメの○○! 4. 小松成美の質問コーナー 5. お知らせ ============== 1. 成美のつぶやき フジテレビ ドラマ『silent』に夢中! 今回のつぶやきは、今季秋のドラマとして2022年10月にスタートした“木曜劇場”『silent』(フジテレビ系毎週木曜・22時~22時54分)についてのお話です。 皆さんは、このドラマをご覧になっていますか? 連続ドラマはほとんど見る習慣がなかったのですが、見逃し配信のTVer(ティーバー)の普及から、話題の作品を深夜や早朝に見ています。 このドラマは、聴覚障がいの青年と高校の同級生だった女性とのラブストーリーです。 脚本が素晴らしく、見逃し配信TVerの再生回数は、過去最高の数を叩き出しています。 また、ツイッターでは毎回、世界トレンド1位を獲得し、放送後にはたくさんの視聴者が長文で感想を書き込むといった現象も起こっています。(私も、放映の翌日には#silentでTwitterのコメントをサーチしています。) まさに今“語りたくなるドラマ”として話題を呼び、Z世代の人たちはもちろん、様々な世代に支持されているのです。 『silent』の脚本を務めるのは、若手脚本家の登竜門とも呼ばれ、これまで野島伸司さんや坂元裕二さんなど数多くの作家を輩出してきた『フジテレビヤングシナリオ大賞』で、昨年大賞を受賞した生方美久(うぶかたみく)さんです。生方さんはなんと、1993年生まれの若干29歳。Z世代らしく、多くを語らないセリフ、LINEやスマホのアプリを利用したコミュニケーションなどが、ごく自然にドラマの中で繰り広げられます。 昨年、『フジテレビヤングシナリオ大賞』の審査員を務めていた村瀬健プロデューサーが生方さんの才能にほれ込み、コンクール出品作以外の脚本を一度も書いたことのない全くの新人ながら、木曜劇場という伝統のある枠で、しかも完全オリジナル作品での脚本家デビューという大抜擢を敢行しました。 私自身、「ついに日本のドラマの未来を担う才能が現れた!」と毎回、心を沸き立たせます。 主人公の青羽紬(あおば・つむぎ)を川口春奈さん、主人公の相手、佐倉想(さくら・そう)役をアイドルグループSnow Manの目黒蓮さんが演じています。 川口さんは今年がデビュー15周年の節目でもあり、本作がフジテレビ系連続ドラマ初主演。私、2021年から2022年に放映された大河ドラマ「麒麟がくる」で織田信長の正妻・帰蝶を演じた川口さんの演技が大好きでした。沢尻エリカさんの降板で、急遽帰蝶を配役された川口さんは、戦国時代の武将の妻を演じ切りました。 川口さんの恋人役の目黒さんはフジテレビ系連続ドラマ初出演で、ラブストーリーの主人公相手役も初挑戦です。目黒さんは大学生になってから聴覚を失ってしまうという難しい役ですが、バラエティで見せる姿とは全く違い、清楚で愛情に満ちた素晴らしい演技をしています。 ここからはドラマの1〜2話目の「あらすじ」です。ネタバレするので知りたくない方はスルーしてくださいね。 主人公の青羽紬(あおば・つむぎ/川口春奈)は高校時代に一生をかけて愛したいと思う恋人と出会いました。高校2年の秋、たまたま朝礼で耳にしたある男子生徒の作文を読む声に惹(ひ)かれたことがきっかけでした。壇上の佐倉想(さくら・そう/目黒蓮)に心を奪われた紬は、次第に彼が気になる存在になっていることに気づきます。3年生で同じクラスとなり、共通の友人を通してだんだんと距離が縮まっていった2人は付き合うことに。音楽好きというお互いの趣味で通じ合い、仲を深めていくのですが、卒業後のある日、これからも一緒にいたいと思う紬に対し、想は突然、理由も言わずに別れを告げて姿を消してしまいます。 それから8年という月日が流れ、高校の同級生で想の親友でもあった戸川湊斗(鈴鹿央士さんが演じています)と新たな人生を歩み始めていた紬でしたが、ある日、偶然、雑踏の中に想の姿を見かけます。もう一度、想に会ってちゃんと話をしたいと彼の姿を探し始めた紬でしたが、探し、再開した彼は、“若年発症型両側性感音難聴”を患い、聴力を失っていたのでした。 相関図や進んでいくストーリーを知りたい方は以下からチエックしてください。 silent -フジテレビオフィシャルサイトより トレンディドラマと呼ばれていた頃のドラマは、心の中の声を、全部セリフにしていました。セリフ過多で、ト書と思うようなことまで言葉にして、その感情の渦に視聴者を巻き込んでいきました。 しかし、このドラマでは、セリフを削ぎ落とし、表情やスマホをいじるタイミング、LINEでの短いコメントなどでお互いの思いや行動を示していく新しい演出が心を打ちます。感情の機微をセリフで限定せず、視聴者にとことん委ねるのです。 いやー、勇気あります。20代の脚本家のずば抜けた才能の顕現を目撃しているという衝撃があります。 ずば抜けた実力を持った20代の脚本家 これまでの優れた脚本家の人たちは当然のごとく、どんどん歳をとっていき、大ヒットを生んだ方々ももう70代、60代、50代になっています。もちろん、ベテランとして重厚なドラマを描いているのですが、この新しい言語形態や表情のやりとりは、20代の人にしか描けないなぁと、見るたびに感動と発見があります。描かれるストーリーが現代の若者たちの心情をリアルに、そして美しく描いていて、心を静かに揺さぶられます。 私も仕事や趣味でZ世代と交流を持ちますが、彼らを、「多くを語らない」「気持ちを顕にしない」「気持ちの伝え方が下手だ」、などと揶揄する言葉も時折耳にします。しかし、実情では全くそんなことはなく、思いを心の内で発酵させる、全てを露わにせず秘めたる思いをSNSで発信したり、表情で見せたりする、情緒を持っています。 ドラマ「silent」では、そうした情緒に音楽を重ねます。

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  • これまでノンフィクション作家として、たくさんのトップアスリートやトップ経営者の唯一無二の「人生」を取材してきました。その経験をもとに、書籍だけでは書ききれなかった小松成美流のコミュニケーション方法や独自哲学を伝えていきたいと思います。経営に、スポーツに、文化に。多岐に渡って、学びあるコラムを配信して参ります。誰もが発信者となる時代に、是非ご参加ください。
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